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Asado

Asado (2008)
3daybingeの活動停止後にVoのRJが新たに始めたサイドプロジェクトの1st。もはやどちらがメインなのかわからなくなっている感もあるが、内容は文句なしに良い。デモとしてmyspaceに公開されていた4曲のうち、当たらに収録しなおした3曲を含む今作は個々はベテランであるが故に地に足をつけどっしり構えながらも、熟練した疾走感を感じさせるという1stにしてベテランの風格を漂わせている作品に仕上がっている。あえて3daybingeと比べるのであれば、Asadoの方が00s以降のメロディックハードコアの影響を色濃く受け、よりハードでメタリックなフレーズを前面に出しているところであろう。またハードコア的な力強さを感じさせながらも、stop&goを多用した曲があるなどリズム的にも遊び心を感じさせ緩急を織り交ぜたりして作品としての流れが完璧である。また比較的メタリックなフレーズは多いながらも、単にそれだけではなく単独ボーカルであることも影響しているのかメロディが全くギターに負けておらず、むしろ目まぐるしく変わっていく展開のアレンジをメロディが引っ張っていっている印象すら受ける。そのアレンジも緩急やメリハリを多角的に、そして横断的に作り込まれていても余分な要素は何一つなく、そのアレンジセンスやそれを再現する演奏能力はすさまじいものがある。そして何よりもアレンジに負けていないメロディは力強さと共に哀愁を漂わせ、それに加えてどこか温かみを感じさせてくれる声も相まって素晴らしい音を作り上げている。全11曲。
☆☆☆☆★★ Reactionary Tones / Watchdog(For A Better Place of Life)
Stay / Dimes For Pride / Bleed / Endure / Pointing Blame
Don't Tell Us What We Should Put In Our Bellies You Filthy Bastards
My Own Replacement
Melodic Hardcore 3daybinge "3daybinge"

Equipped To Fail (2013)
待望と言える2ndは1曲目のイントロから前作とは異なる、と良い意味で期待を裏切る雰囲気を出している。それは音の質感が若干丸くなったように感じる。しかしこれは決して音が軽くなったとか、遅くなってということを意味してはおらず、むしろ勢い任せの無駄なものを排除し洗練されたと言っていいだろう。どことなくひねくれたアンサンブルの中でメロディがギターなどに負けずに引っ張っていく彼らの持ち味はそのままであり、様々なアレンジで音を積み重ねていたのが前作であれば、今作はむしろ引き算の方向にアレンジが向いているように感じる。その分一見シンプルになり落ち着いたかのように感じるかも知れないが、今まで通りに横断的に縦横無尽に駆け抜けているアレンジは良い意味で複雑に聞こえさせないアンサンブルであり、彼らにしかできない持ち味である。メタリックなフレーズにのみ頼る訳ではなく、純粋に緩急をつけながらメロディとアレンジで最後まで一気に駆け抜ける様は90sの香りを色濃く感じることができ、そういった意味では3daybingeの要素も見え隠れしている。そして何よりもそれを最大限に映えるのはRJのボーカルが力強くも温かみがあり、更には今まで以上に哀愁を漂わせていることが今作の完成度をさらに上げている。00s以降のメタリック度合いと勢いを求めるのであれば前作だろうが、円熟したメロディックパンクを求めるのであれば今作であり、どちらも甲乙付け難い名盤である。全14曲。
☆☆☆☆★★ The FirstStep / Equipped To Fail / King Died Today
Without A Choice / Disconnect / Roast / Occupation 101
Horrible Truths / Safety Zone / Go On Believing
Stronger Than The Rest
Melodic Punk Strung Out "Twisted By Design"