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Dropkick Murphys

The Gang's All Here (1999)
ボストンを代表するバンドのうちの一つである彼らの2nd。前作は勢いを重視したアグレッシブなサウンドであったのに対して、今作ではボーカルであったMikeが脱退し、Alが加入したことに起因するのか勢いは残しつつもメロディは少しキャッチーさが出て耳障りが良くなったことによって、ポップながらもPunk本来の攻撃性も残した絶妙なバランスで構成された作品になっている。またジャケットが南北戦争でのニューヨークの第69歩兵連隊に属するアイルランド人旅団を題材にしていることからも分かるように、前作で垣間見せていたアイリッシュの要素が15曲目のAmaing Graceのカバーではパグパイプが全面的に取り入れられているように前作よりも少し強くなっている。Street Punkを基調としながらもポップなメロディと疾走感の上をアイルランド民謡の要素が入ることにより、彼ら独自のサウンドが明確になりつつある名盤である。全16曲。
☆☆☆★★★ Roll Call / Perfect Stranger / 10 Years of Service
Upstarts and Broken Hearts / Going Strong / The Fighting 69th
Boston Asphalt / The Only Road / The Gang's All Here
Melodic Punk Pistol Grip "Another Round"
Sing Loud, Sing Proud! (2001)
これまでのStreet Punk色が強かったサウンドから一転して、メンバーにバグパイプとマンドリンが加入したことにより、これまでは要所要所にアイリッシュ要素を取り入れていたのに対してバグパイプを大々的に導入し、アイリッシュというトラディショナルな要素を取り入れたサウンドを確立させた3rd。これは正式メンバーにバグパイプ奏者などが加入したことが大きいだろう。冒頭を飾る否が応でもテンションが上がってしまう、Boston大学のFight Songのカバーで始まる今作はサウンドの大幅な転換があるものの既にこの段階で完成されていると言える。しかし2曲目からは前作までのStreet Punk色とアイリッシュ感がサウンドだけでなくメロディやメロディに対する言葉の乗り方など全てにおいて絶妙なバランスで構築されている。特にイントロのバグパイプから一気にサビで爆発する5曲目や力強くもしっとりと歌い上げる6曲目など今までの彼らの熱量と、カバー曲も含めトラディショナルな部分がうまく混ざり合った最高傑作である。全16曲。
☆☆☆☆★★ For Boston / The Legend Of Finn MacCumhail
The Rocky Road To Dublin / Heroes From Our Past / Forever
The New American Way / A Few Good Men
Ramble And Roll / The Spicy McHaggis Jig
Celtic Punk The Real McKenzies "10,000 Shots"
Mick Jones Nicked My Pudding (2020)
新型コロナウイルスの影響でロックダウンなどが続いている状況下で毎年恒例の3月のSt. Patrick Dayも中止となった彼らが各種プラットフォームを経由せずに、オフィシャルでのダウンロードのみでリリースしたシングル。世の中が閉塞感に溢れ先が見通せない状況下にある中で不安などを一掃するかのような力強さに溢れている。1曲目はバグパイプはなく、そういった点においてはアイリッシュ要素は少ないが、その分メロディの裏で鳴る単音リフとそのボトムを支えるベースが低音だけでなく中音域でもブリブリと鳴って躍動感にあふれており、メロディも彼ららしいStreet Punk要素満載のシンガロング必至な楽曲である。また2曲目のカバーは逆にバグパイプを大々的に取り入れ、アイリッシュ感満載であり、彼らの持つ2面性の魅力をシングルながらも凝縮した作品である。全2曲。
☆☆☆★★ Mick Jones Nicked My Pudding / James Connolly
Celtic Punk ------------------------------