thewarpedradio

The Get Up Kids

Red Letter Day (1999)
名作と名高い2ndの先行シングル的な位置づけにもなるEP。今作ではこの直後に加入するキーボーディストのJamesをフューチャーして制作されているが。1stでのエモーショナルさにキーボードが入り込むことにより、疾走感の中にも陰りや明るさなどがそれによりアクセントとなって彼らの魅力がより一層輝いている。その一方で奥に隠された激しい感情も初期衝動という形ではなくなって洗練されているが、まだ部分的に荒削りなところもありそれが今作の最大の魅力である。タイトル曲であり、後に2ndにも収録される2曲目はこちらは多少の荒削り巻が疾走感を生み出しており、更にはアルバム収録時にはなくなっているコーラスが入っておりどちらのバージョンも捨てがたく、5曲目はピアノや鍵盤打楽器と打ち込みが混ざり合うイントロから始まり、最後は不意にフェードアウトするアレンジなど曲数は少ないながらも彼らの魅力が存分に味わえる作品である。全5曲。
☆☆☆★★★ One Year Later / Red Letter Day / Forgive And Forget
Anne Arbour / Mass Pike
Emo Braid "First Day Back"
Eudora (2001)
前作でその地位を決定的にした彼らが単独作品としては2年ぶりに発売したレアトラック集。ほぼ全てがシングルやスプリット、コンピなどで発表済みではあるものこうして1枚でまとめて聞けることはありがたい限りであるが、決して散漫な印象は受けずバンドとしての筋は一貫していると言えるだろう。また、今作の最大の特徴はカバー曲の多さと合わせて、原曲アーティストの多様さである。The CureやThe Replacement、David Bowieなどは彼らのルーツとして分かる部分もあるが、今作にはMötley Crüeであったり、更にはスプリットもリリースした地元カンザスのメタルコアバンドのCoalesceのカバーまで収録されているが、こういった曲でも彼らの持ち味は存分に発揮されている。11曲目のMötley Crüeのカバーは原曲の雰囲気を損なわずに、しかし原曲ではミドルテンポであったところを疾走感溢れる爽快なサウンドへと変化させ、14曲目のCoalesceのカバーも同様である。またアルバム収録曲のDemoもその変化の過程を感じることができ、聞いておくべき作品である。全17曲。
☆☆☆★★★ ------------------------------
Emo ------------------------------
Live At The Granada Theater (2005)
解散前の2005年1月に行われた地元カンザス州での10周年記念ライブを収録したキャリア初となるライブアルバム。結果的には最後の作品になってしまったが、MCや観客のシンガロングなど臨場感あふれる音像になっており、音源よりも加速したライブにおける彼らの楽曲の力強さやエモーショナルさなどアルバムとは異なる表情をそれぞれの楽曲が見せている。選曲も4thからはイマイチ感は残るものの、比較的まんべんなくどの作品からも取り上げられており入門編やベストとしても楽しめる作品である。しかしその一方で冒頭3曲ほどは地に足がついてないとまでは言わないが力強くも荒々しすぎてどこか不安定さを感じる部分があり、少しもったいなさを感じてしまう。中盤以降はダイナミックさやエモーショナルさなどがガッチリと組み合っているからこそ尚更残念である。全18曲。
☆☆☆★★ ------------------------------
Emo ------------------------------
Kicker (2018)
前作リリース後にバンドとしての表立った活動がなくなっていた彼らの約7年ぶりのリリースとなるEP。復活後は悪くはないがTGUKという冠においてはバンドのアンサンブルというよりもエレクトロなどその他の要素を重視しすぎた結果どうもしっくりと来ない部分があったが、今作では少し前作のエレクトリックさを引きずっている部分もあるがほとんどそれが払拭されて彼らにしか出来ないサウンドが戻ってきている。もちろん完全に原点回帰という訳ではないが、青臭いメロディと文章ではなく短い言葉の羅列で耳にストレートに入ってくる歌詞とその韻が作り出すリズムが心地よい彼らの特徴を全面に押し出した1曲目や、パンキッシュで力強いサウンドにMattのエモーショナルなメロディが乗った疾走感あふれる3曲目など、ストレートにメロディとアンサンブルを鳴らす初期の青臭い姿を彷彿とさせる楽曲が揃っている。それ以外の2曲に関しても路線はそのままであり、Jamesのキーボードがアクセントとなっているがコンパクトにまとまっている4曲目やコーラスとメロディの力強さと絡みが心地よい2曲目などアルバムへの期待感が否が応でも高まる作品である。全4曲。
☆☆☆★★ Maybe / Better This Way / I'm Sorry
Emo Dikembe "Ledge"