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Satanic Surfers

Hero Of Our Time (1996)
圧倒的なまでの勢いと完成度で後世に大きな影響を与えた彼らの1st。ボーカルのUlfが脱退したことにより今作からロドリゴがドラムボーカルとなっているが、その影響は一切感じさせずにむしろそのことがプラスになったかのような全てのパートで厚みが出ている。最初から最後まで一気に駆け抜けていく多少の荒削り感はありながらも圧倒的な疾走感と北欧ならではの陰りを帯びた哀愁感漂うメロディ、そしてその速さの中でも手数の多さが際立つドラムと重さを感じさせるギターと低音を支えつつもふとした瞬間にさりげなくハイポジションのフレーズを入れ込むベース、そういったあらゆる要素が主張しつつもバランス良く構成された作品である。また1stの荒削りさはありつつも4曲目のイントロはロカビリー要素やスイング感を若干入れていたりなど、速さだけではなく展開に緩急をつけており体感速度すらも自在に操った大名盤である。全13曲。
☆☆☆☆★★ ...And The Cheese Fell Down / Better Off Today / Use A Bee
Hero Of Our Time / Before It's Too Late
The Treaty And The Bridge / 10 Got To Throw Up
Head Under Water
Fast Melodic Punk Pridebowl "Drippings Of The Past"
The Usurper (2018)
13年ぶりの新作に先駆けてリリースされたシングル。前作から非常に長い期間が空いてはいるが、初期を髣髴とさせるようなベースラインがギターに埋もれることなく動いており、ロドリゴの力強く歌い上げるメロディと相まってどこを切り取ってもSatanic Surfersであると言えるような楽曲になっている。1曲目はシンプルながらも圧倒的なスピード感で終始疾走しており、合間に取り入れられているリフといい彼らの王道的な楽曲である。ハードロック的なダイナミックさを感じさせるイントロから始まる2曲目は本作のみの収録であるがHardcore色が若干強いが、それも彼らの魅力の一つである。しかし過去の焼きまわしではなく長いキャリアの中で培ってきた様々な要素を取り込んでおり、後半は少しスピードを落としてレゲエ的なリズムを取り入れているがそれがSatanic Surfers流にアレンジされており、アルバムへの期待感を掻き立ててくれる作品である。全2曲。
☆☆☆☆ The Usurper / Skate, Don't Care
Fast Melodic Punk ------------------------------
Back From Hell (2018)
地獄かどうかは分からないが、タイトル通り第一線にカムバックした彼らの復活後初となる7th。先行シングルとなったThe Usurperで幕を開ける本作は、ブランクは合ったが前作の延長線上というよりも1st以前の精神性を現代風に解釈し直したかのような懐かしさを感じる作品になっている。楽曲自体は終始硬派なサウンドでありつつも疾走しておりそのスピードが緩まることはないが、それは1st〜3rdのような適度な軽さを帯びた速さではなく、Swedish Hardcoreを彷彿とさせる極初期のHardcore要素もまだ織り込まれていた頃のような重さが速さの中にも感じることができるだろう。展開もHardcoreやMetal、Melodic Punkなど多彩な要素が複合的、多層的に構築されておりその分曲自体は少し長めになっている曲もあるが、それを気にさせない展開は見事である。全10曲。
☆☆☆☆ The Usurper / Catch My Breath / Self-Medication
All Gone To Shit / Madhouse / Paying Tribute / Back From Hell
Fast Melodic Punk I Against I "Headcleaner"