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Sick Of It All

Blood, Sweat And No Tears (1989)
NY Hardcoreを代表する彼らの記念すべき1st。前作のEPの時点で方向性は既に確立されていたが、前作で見られた荒々しさは今作ではなくなり全てが速く、短くシンプルになっており全てのパートの音ががっちりとスクラムを組んだかのような完成度を誇っている。東海岸のHardcoreの流れを脈絡と受け継いだサウンドであり、初期衝動だけに留まらない勢いに溢れた仕上がりになっている。そういった意味では目新しい所はないかもしれないが、他のバンドとの大きな違いはメロディにあるだろう。2曲目の様なシンプルながらも少しずつテンポが上がってくると共に、テンションも上がってくるような展開や随所にみられるシンガロング要素満載のメロディやコーラス。決してポップと言わけではないが、それまでのHardcoreのサウンドにメロディアスさを存分に取り入れ、相反する要素のこの2つを共存させたのが今作であり、その意味でも新たな方向性を示した作品である。全19曲。
☆☆☆☆ The Blood & The Sweat / Clobberin' Time / Pay The Price
Give Respect / Pushed Too Far / B.S. Justice
Stick Together / My Life / No Lebels / The Deal
Old School Hardcore Paint It Black "Paradise"
Wake The Sleeping Dragon! (2018)
NYHCの大御所の一つである、Sick Of It Allの4年振りとなる12th。作品を重ねても彼らは良い意味で軸が決してブレることはなく、今作でもパワーコード主体でシンプルながらも重さと速さを兼ね備えたアレンジの上をメロディアスにも力強く、時には吠えるようなメロディが縦横無尽に駆け抜けていく。更にはStreet Punkの要素を強く感じさせる4曲目のようなOiコーラスなど絶妙なバランス感でいつもながらも暑苦しくも力強い彼らの魅力が爆発している。そして何よりも今作はメロディの完成度が非常に高い。元々東海岸のHardcoreの中では力強くもどこかキャッチーなメロディを持ち合わせていた彼らではあるが、今作ではそれが際立っている。年齢やキャリアを重ねた分猪突猛進的な勢いはなくなっているが、その分計算や洗練された勢いなどを感じられる、バンドとしてエネルギーや怒りは未だに内包されていることを如実に表している傑作である。全17曲。
☆☆☆★★ That Crazy White Boy Shit / Bull's Anthem
Self Important Shithead / Wake The Sleeping Dragon / 2 + 2
Hardcore Horseshoe / Work The System / The New Slavery
Old School Hardcore Bane "Don't Wait Up"