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Tigers Jaw

Hum (2013)
4th Albumからの先行シングル。A面はアルバムのリードドラックであるが、反則級の出来である。バンド解散の危機を乗り越えたことが影響しているのかもしれないがメロディと楽曲のバランスが非常に明確なまでの陰陽感を描いている。女性ボーカルがメインを取りながらも複雑に絡み合う男女ボーカルとコーラスがざらざらとしたサウンドとの一体感を取り持っているようである。B面はアルバム収録曲のAcoustic Versionであるが、こちらはどちらかと言うと男性ボーカルがメインであり陰鬱感が若干多いが、コーラスによって不思議な浮遊感を感じさてくれる。今までの彼らにありそうでなかった感覚であり、こういったアプローチも面白いなと思わせてくれる曲である。全2曲。
☆☆☆ Hum / Cool
Emo ------------------------------
Charmer (2014)
メンバーが3人脱退し、ボーカルとキーボードの2人体制になるという事態を乗り越えて制作された4th。この事実が少なからずとも楽曲にある程度の影響を与えているかのように、前作までと比べて若干排他的ともとれるような陰鬱さが強めに出ているような印象を受ける。しかしそれは元々持っていたemoとindie rockのバランスの問題であり、今作ではそのindie rockの部分を非常に強く押し出している。男女混成のボーカルはそのままでありながらも中盤~後半にかけて淡々としている部分もあり、そういった点でいえば派手さはなく陰りや憂いを強く感じるかもしれない。しかしグランジの様な爆発的なエネルギーを内包した陰鬱さではなく、こういった状況かであっても前を向いて進んでいこうとする力強さを兼ね備えているような作品である。しかしそういった熱量も必要以上には表には出ておらず地味な印象すら覚えるかもしれないが、indie rockやemoの枠に留まらずシューゲイザーの要素を取り入れた楽曲などシンプルながらも男女ボーカルとギターの絡まり方は絶妙であり名盤である。メロディも爽やかなようで曇り気もあり、ベクトルは異なるもののAlkaline Trioにも通じる部分もあり、エモリバイバルという言葉だけでくくることは難しいバンド、作品に仕上がっている。全12曲。
☆☆☆☆ Cool / Frame You / Hum / Nervous Kids / I Envy Your Apathy
Slow Come Down / Teen Rocket / Distress Signal
Indie Rock Alkaline Trio "Agony & Irony"
Studio 4 Acoustic Session (2015)
バンドの危機とも言えるメンバーチェンジを乗り越えて制作された名盤である前作4thの制作にも関わったWill Yipのスタジオで行ったアコースティックライブの模様を収録したライブ盤。アコースティックであるが故に元々の楽曲の良さをダイレクトに感じることができるだろう。こうして楽曲の根幹の部分に焦点を当てた作品で聞くと改めて男女混声ボーカルの良さや、そもそものメロディの瑞々しさや青々しさ、透明感などがよりくっきりと現れている。またギターとボーカルだけというシンプルな構成ながらもメロディの良さを最大限に活かす躍動感にも溢れていて、MCや息遣いなどその場の空気感を全てパッケージしている本作は、彼らの魅力の一部しか味わうことが出来ないため入門編としては不向きかもしれないが、避けては通れない作品ではある。全12曲。
☆☆☆★★ ------------------------------
Acoustic ------------------------------