thewarpedradio

Actionmen

The Game! (2007)
イタリアの奇才集団とも言うべき先進的且つ独創的なMelodicHardcoreを作り上げている彼らの1st。紆余曲折を経てメンバーにドラムが2人いるという時点で明らかに他のバンドと一線を画しているが、それ以上に唯一無二の存在である何よりの理由はその高い音楽性である。高速メロディックを根底に置きながらも、勢い任せと言う言葉からは完全に縁遠い緻密な計算の上に成り立っている立体的なサウンドからは、JazzやFunkなどの要素、影響を存分に感じ取れる。手数の多いドラムに時折チョッパーさえも取り入れたベースなどリズム隊の変態度、安定度が最大の特徴である。そしてその上を縦横無尽にギターが遊んでいるが、曲の中で見せる表情は彩り豊かである。そしてメロディも若干弱い部分はあるものの、楽器隊に負けず劣らないインパクトを残している。純粋なスピード重視という曲は少ないが、ある意味王道のアレンジであったかと思えば曲の中で急転直下、一転してJazzへと表情を変えたりなど、最早Punkという枠組みすら不要であるかのごとく自分たちの世界を既に作り上げてしまった名盤である。全13曲。
☆☆☆☆★ Boyfriend's Habits / About Me / Everynight / Tales Of Germany
Fate Vobis / O.W.T.S. / Porn Actor / My Inspiration's Gone
Melodic Hardcore Frenzal Rhomb "Not So Tough Now"
Upa A Baba! (2008)
過去のEPの再発盤。当時まだ高校生であったこともありところどころ随所にFunk的な要素を感じさせる部分もあるが、基本的には王道のMelodic Hardcoreであり、リズムやミュート、ギターの歪みなどをうまく使って緩急をつけている。シンプルで曲数も少ないので、1枚を通してあっという間に終わるような感覚がある。しかし一瞬オペラ的なメロディを組み込んでいる4曲目、ファンキーなイントロから一気に高速になだれ込んでいく5曲目、など、後の作品につながる彼らのセンスだったり、一筋縄ではいかないひねくれた展開は既にこの作品からも感じられる。ちなみに再発盤はオリジナル盤より1曲少なく、曲順も異なっている。全8曲。
☆☆☆★ Stale Fish / Psycho Panic / Stressing Tie / If You're Happy
Action Men
Melodic Hardcore ------------------------------
Coalition (2009)
Forus, Hero Of Our Time, Play Attenchonによる国境を越えて新世代のバンドが集まって制作された4WaySplit。それぞれのバンドが自分たちの持ち味を発揮した好盤であるが、Actionmenはアルバムからの方向性はそのままに、それを突き詰めたかのような楽曲になっている。1曲目はイントロのリズムが相変わらずのジャンルレスでごった煮感を出しているが、それだけではなくこの曲はディスコの要素を存分に取り入れている。それがMelodic Hardcoreと合わさって何とも言えない浮遊感を感じさせてくれる。またメロディも歌い上げる部分もありながらも、ちょっとのっぺりとしたような歌い方をあえてしているかのような部分もあり、どちらかと言えばメロディですらも一つの楽曲としてとらえているかのような印象すら受ける。これは2曲目に日本語を取り入れていることにも表れているのではないだろうか。必然性はないながらも、曲全体を俯瞰すれば彼ららしい楽曲に仕上がっていると言えるだろう。なお、3曲目は彼らにしては珍しい部類に入る、良い意味であまり細部まで作り込まれていないラフなインストナンバー。全3曲。
☆☆☆☆ Ram Das / Perinos
Melodic Hardcore ------------------------------
Ramadama (2013)
6年ぶりにリリースされた今作はフルアルバムのボリュームで2枚組という楽曲だけでなく、行動自体も変態的である彼らの2nd。今回はramaとdamaと名された2枚に分かれており、どちらも彼ららしい変拍子の多用やボサノバ、ラテン要素も強調した変態的、変則的な楽曲が収められているが、それでも結果的に2枚に分けたことが理解できるような違いがあると言える。Ramaの方がどちらかと言うと彼らが持っているJazzやFunkの要素を全面に押し出しつつも新しい要素を取り入れた新しい要素を重視している様に感じられ、それの最たる例は2曲目や3曲目であろう。メロディ自体は非常にポップでありながらも、その展開は一寸先は闇のごとく予想もつかないアレンジの応酬であり、そこから計算された緻密さ共にFree Jazzなどの即興性をも含んでおり、計算された狂気を体感することができるだろう。その一方でDamaは彼らの雑多性はそのままであるものの、勢いを少し重視したかのようなこちらは前作の延長線上にあり、それを深化させたような印象を受ける。しかしそこは捻くれた感のある彼らは3曲目のように意図的に計算されたロジックにより構成されたごった煮サウンドが収められている曲数が多いこともあるが、聞けば聞くほど味が出てくる作品であると言えるだろう。全22曲。
☆☆☆☆★ Agamennone / Mario / Living On My Own / Mirco E Frocele
Ram Das / Mugna Lation / Jack McQuack / Turbo Pascal
Querela / Mugna III / Franco / Demetrio / Mugna 45
Melelodic Hardcore X-State Ride "Against Me"
Defections (2018)
2018年のDead Neckとの日本ツアーに合わせて自主で制作されたSplit。久々の音源となり前作からメンバーチェンジも合ったが、相変わらずの変態度合い炸裂の作品である。冒頭の2曲は彼らの中では比較的ストレートでシンプルにアレンジされているが、それでもMelodic Hardcoreの中にJazzやFunk、ひいてはMath Rockなどが荒々しさの中にも緻密に構成されたアレンジとなっている。そして後半の2曲はメンバーがサイドプロジェクトであるCacao名義でもリリースしたことが影響しているのか、マシンガンのように繰り出される手数の多いドラムにこちらも音数が多いリフが渾然一体となって襲い掛かってくるカオス的な構成をした楽曲と作品の中でも二面性を感じられるだろう。前のめりに突っ込んでくるような部分と一歩引いた部分とのコントラストが面白く、やはりセンスの塊のようなバンドである。全4曲。
☆☆☆☆☆★★★ Lion / Flowers / C'est Dada
Melodic Hardcore Dead Neck "Defections"