thewarpedradio

Blink-182

California (2016)
前作リリース後に中心人物の一人であるTomがドタバタ劇の中で脱退となり、新作の制作はもちろんバンドの存続すらも危ぶまれる中で誰もが想定をしていなかったAlkaline TrioのMattが加入するというサプライズを経て制作、発売された7th。3rdを彷彿とさせるような、そして皆がBlink-182の姿として期待するようなPopでキャッチーなメロディにTravisが生み出すシンプルなようで手数も多く独創的なドラムによる独特のうねりが今作では復活している。Tomが脱退しボーカルの片翼を失ったことによってツインコーラスは影を潜めMarkがメインを取る楽曲がほとんどではあるが、その分コーラスやシンガロングが増えており、今までにはない力強さを感じさせる。またたまにMattが全面に出ている楽曲もあり、その中からはBlink-182でありながらもALK3を感じさせるような雰囲気もあり、これは寄せているのかどうかは不明ながらも意外とMarkとMattの声質が似ていることにもよるだろう。しかしやや実験作的な要素も強かったここ2作のようなダイナミックで壮大さをも混ぜ込み、打ち込みなども多用した2曲目や4曲目があったりなど、決して原点回避とは言えず、年令を重ねた分の円熟味も感じさせる作品である。全16曲。
☆☆☆★★ Cynical / She's Out of Her Mind / Sober / No Future
Kings of the Weekend / Rabbit Hole / Brohemian Rhapsody
Pop Punk AFI "Sing The Sorrow"
Nine (2019)
ALK3のMattが加入して2作目となる本人たちにとっては9枚目として考えている8th。製作中にTravisが前作の延長線上ではなく、セルフタイトルである5thの頃のような精神性に立ち戻ると発言をしていており、ボーカルにエフェクトを強めにかけていたり、Travisの手数の多いドラミングが生み出す複雑で多様なリズムが直線的ではなく縦ノリや横ノリを自在に操っているなど、確かにその要素は強めであると言えるだろう。しかし賛否両論を呼び、活動停止の遠因にもなったと思われる5thと決定的に異なるのは楽曲それぞれが持つ質感と、作品全体に漂う空気感であろう。殆どの楽曲がミドルテンポでダークな印象を帯びながらも6曲目のようにボーカルにエフェクトが少し強めにかかっていても明るく疾走感があるショートチューンがあったり、前作から加入したMattがメインを取る曲では存在感を出しながらもBlink-182として成立していると言える。前作で意図的に取り戻した彼らが作り出した王道のPop Punk要素を主体としながらも、個々の持ち味を最大限に発揮した上でそれを現代的解釈で再構築した作品と言えるだろう。全15曲。
☆☆☆★★★ The First Time / Heaven / Darkside
Generational Divide / Black Rain / Pin The Grenade
Ransom / On Some Emo Shit
Pop Punk Fireworks "Gospel"