Bracket
Requiem (2006) | |
ライブアルバムを挟みながらも約5年という長い沈黙期間を経てひっそりとリリースされた6th。今作は自分たちで設立したスタジオで制作された初の完全セルフプロデュースではあるが、Fat Mikeからリリースを拒否され古巣のFATを離れたある意味曰くつきの作品である。今までの作品に何曲か収録されていたWarren's Songシリーズの新曲のみで構成されたコンセプト感溢れる作品である。元々メロディーを重視しているバンドであり、作品を重ねるごとに落ち着いた曲が増えてきており今作も同様の流れを含んでいるが、メロディやコーラスの入れ方は相変わらずポップながらもどこかひねくれている。ベースとなっているのは正統派の90s Pop Punkであるが、今作ではそれに加えてSurf PopやPower Popの要素を存分に取り入れている。このシンプルながらもポップでひねくれ加減が彼らの最大の特徴・魅力であり、今作でもそれは存分に発揮されている。もはやPunkというジャンルというのも憚れるような曲もあり、楽曲によってはBeach Boysなどの影響すら感じさせてくれる。しかし結局はいつものBracketであり、いつもの西海岸の雰囲気を存分に感じさせてくれる名盤である。全17曲。 | |
☆☆☆☆★★ | Warren's Song, Pt.16 / Warren's Song, Pt.19 Warren's Song, Pt.24 / Warren's Song, Pt.23 Warren's Song, Pt.26 / Warren's Song, Pt.12 Warren's Song, Pt.21 / Warren's Song, Pt.10 Warren's Song, Pt.15 |
Old School Pop Punk | Pink Razors "Leave Alive" |
Rare Cuts Vol.1 (2013) | |
Bandcampで配信された、レアトラック集の第1弾。Demoやアコースティック、ライブ音源など様々なものが収録されており、当然ながらどれもアルバムとは異なる表情を見せているものばかりである。1stのセッション時に録音された1曲目はアルバムとは若干毛色が異なり少しパンキッシュでありながらも展開が良い意味でごちゃごちゃしていて分数は長めであるが、それが気にならない楽曲もあれば、3曲目はピアノから始まってストリングスを入れ込んだ、アルバムとは異なる優しさに溢れた壮大な雰囲気へと変貌を遂げている。6曲目はアコースティックながらもメランコリックな雰囲気を漂わせていると思えば、Warren Songをアコースティックだけでなくメドレー化するという独特の感覚で再アレンジした12曲目など、レアトラック集とはいえ個々に彼らのセンスが爆発した楽曲が並んだ1枚である。全13曲。 | |
☆☆☆★★ | Small Talk / Oi! / John Wilkes Isolation Booth DEMO Imaginary Friend / When I Think of You Warren Medley (Acoustic) pt. 8,9,3 |
Old School Pop Punk | ------------------------------ |
The Last Page (2016) | |
FAT離脱後はマイペースながらもコンスタントに活動を続けているBracketの8th Album。本作はアルバムという形態を取りながらもシリーズ化されているWarren's Songを1曲のみを収録、なおかつ1曲のみで1時間オーバーというNOFXのThe Declineと同じ系譜に位置しながらも、それ以上に変則的な作品である。中身はいつものSurf PopやPop Punk, Indie Rockなど彼らが持っている要素を詰め込んだ短い曲を隙間なく入れ込みつつもそれぞれの曲がシームレスにつながっている部分もあれば断片的に次に変わる部分もあり、あえて1曲にまとめなくても良かったのではないかとも思わなくはない。そのあたりの意図がどこにあるのかは、彼ら自身の言葉はなかなか伝わってこない部分もあるが、それでも着眼点はもとよりサウンドの完成度としても素晴らしい。個人的にはもう少し緩急があるとより彼らの生み出すメロディが生きるとは思うが、トリッキーな作品にも関わらず結局はいつもBracketである。全1曲。 | |
☆☆☆★ | Warren's Pt.28 |
Old School Pop Punk | ------------------------------ |
Too Old To Die Young (2019) | |
様々な意味で解釈できそうな、そして様々な示唆を含んだ非常に意味深なタイトルが付けられた、そして過去には様々な問題を抱えたFATに復帰してリリースされた9th。作品全体の方向性は変わっておらず、Power Popを経由した彼ら独特のポップ感を打ち出した珠玉のPop Punkが詰まっているが、今作では少し以前のような力強やさ疾走感が戻っている印象を受ける。この少し前のめり感も散見される勢いが円熟味を増した少しビター気味のメロディと絡み合うことにより、青臭さが残る甘酸っぱさとキャリアを重ねた分の渋みとが高次元で融合した作品に仕上がっていると言えるだろう。ただアレンジは決してシンプルではなく9曲目では珍しくHardcore色を織り交ぜつつも途中で一気にPower Popに変わったりなど変幻自在に様々な表情を見せる楽曲のアレンジは彼ら独自の魅力であり、本作でも遺憾なく発揮されている。全11曲。 | |
☆☆☆★★★ | Cloud Ate / Canned from the Food Drive Exit Interview / Under the Moon / Warren's Song Pt. 29 Antisocial Inactivism |
Old School Pop Punk | Nerf Herder "American Cheese" |