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Descendents

Everything Sucks (1996)
Miloが研究に専念するために脱退後、他のメンバーはAllとして活動していたが、その長い活動休止期間を挟んで待望の新作となった5th。前作では少しエクスペリメンタルな方向に行き過ぎた感もあったが、今作では活動が止まっていた鬱憤を晴らすかのようなそれまでの捻くれた加減は保ちながらも力強い勢いを持った楽曲が並んでいる。Black Flag的なストレートなHardcoreテイストあふれる3曲目なども良いが、同じHardcore感を出しつつも8曲目はひねくれ感満載であったりなど、その独特なひねくれたポップ感を持ちながらも一筋縄にはいかない変則的なリズムやリフ、ベースラインが入り交ざったファストで温かみのあるメロディが詰め込まれた楽曲の完成度が非常に高い。どの曲もMiloの力強くも説得力のあるボーカルと青臭いメロディ、そしてその彼が歌うリリック、またベテランであるにも関わらずバンドとしての初期衝動にも似た勢いを最後まで保ち続け、一切の飽きが来ない楽曲など全てがハイライトであり、歴史に残る大名盤である。全15曲。
☆☆☆☆☆ Everything Sux / I'm The One / Coffee Mug / Rotting Out
Sick-O-Me / Caught / When I Get Old / Doghouse / We
This Place / I Won't Let Me / Thank You
Melodic Punk Hard-Ons "Yummy!"
Live Plus One (2001)
表向きはAllのライブアルバムにオマケ的な扱いで2枚組として発売されたライブアルバム。しかし完成度は非常に高く、過去においてこんなに豪華なオマケDiskがあっただろうかと思えるくらいに贅沢な作品である。ジャケットも内面にMiloバージョンで一応作成されている。もちろん演奏もボーカルも完璧であり、ライブとは思えない程に非の打ちどころがなく完成されたライブである。音源同様にベースは相変わらず独特なうねりを持ちつつも勢いよく駆け抜けるフレーズのオンパレードであり、ギターは疾走感はもちろん出しながらも音源以上にある意味変態的なフレーズを奏でている。選曲も数ある名曲の中でこの曲も入れて欲しかったなどのことは少なからずあるが、彼ら独特のポップさが最大限に発揮された曲が多く演奏されている一方で、ハードコアの要素が強い曲も織り交ぜているなど彼らの魅力が最大限に詰まったいるほぼ当時のベスト的な選曲である。だからこそ入門編としても、そして彼らの魅力にはまった後でも楽しめる名盤のうちの一つである。全21曲。
☆☆☆☆★ ------------------------------
Melodic Punk ALL "Live Plus One"
Cool To Be You (2004)
EpitaphからFatへと移籍してリリースされた約8年振りとなる6th。Milo自身がインタビューの中で本作を歴代の作品の中で最下位にランク付けしているが、本人の意見は抜きにしても少し中途半端な作品であることには変わりないだろう。前作からの間にツアーもあまりなく、バンドとしてのブランクがあるにせよ、どことなく中途半端な印象を受ける作品である。KarlのうねりのあるベースラインやStephenの印象的なひねりのあるギターや第2のメロディとも言えるような非常にポップでキャッチーなリフ、またBillのドラムが生み出すリズムから発生する独特のポップ感は健在であるものの、Miloが歌うメロディの質感には楽曲ごとにブレがあるように感じる。何曲かは往年の姿を感じさせるポップでありながらもどこかひねくれつつも攻撃的にも聞こえる楽曲はあるものの、その完成度が少し楽曲によって分かれてしまっているのが残念な部分である。全14曲。
☆☆☆★ Talking / Nothing With You / 'Merican / Cool To Be You
Maddie / One More Day / Anchor Grill / Dry Spell 
Melodic Punk Undeclinable Ambuscade "Sound City Burning"
Hypercaffium Spazzinate (2016)
前作からまた期間が空いたものの、その間の2013年に映画の公開があったりなど復活の狼煙を上げつつあった彼らの12年ぶりの7th。Stephenが1曲目から奏でるイントロのリフとそれに絡み合うようなうごめくKarlのベースライン、そしてそれを土台から支えるBillの変則的であるにもかかわらず安定したドラムの上をMiloが力強く歌い上げるメロディと、どんなに時間がたってもオリジネーターは常に唯一無二の存在であることはこの作品が証明しているかのように変わらずのCruz Punk全開である。Stephenが、Karlが、Billが、そしてMiloが曲を書けばそれだけでDescendentsとして成立する部分ももちろんあるが、本作では前作が若干大人しく消化不良な部分があった反動かは分からないが、年齢を重ねているにもかかわらず全体的に軽快で躍動感に溢れた作品になっている。特に彼ららしい独特のメロディに蠢き絡み合うベースが印象的な2曲目やコーラスが大々的に入り、シンガロング必至の4曲目、少し荒々しく歌い上げている9曲目など作品全体がハイライトになっているほど完成度の高い作品である。全16曲。
☆☆☆☆★★ Victim of Me / On Paper / Shameless Halo / No Fat Burger
Without Love / Smile / Fighting Myself / Full Circle / Comeback Kid
Melodic Punk Higley "That's Not Me"
Who We Are (2018)
2018年のRecord Store Dayで発売された、7inch。元々表題曲はここまで直接的に彼らが怒りを表すことは珍しいが、現代アメリカを取り巻く人種差別、性的差別、移民排斥態度に対しての抗議として2017年に配信限定でリリースしたものである。そしてB面の2曲は未発表であるが、どちらも素晴らしい楽曲が収められている。表題曲はプロテストソングであるが故に彼らの怒りが込められているが、単に怒りだけを示すという訳ではなく現状に対して彼らがどのような立場・姿勢でいるのかを明確に歌っている。そのようなスタンスを明確にしながらもメロディはキャッチーであり、いつも通りの彼らである。しかし他の2曲もそうであるが、シンプルでありながらもうねるようなKarlのベースとBillの安定した力強いドラムとStephenの変則的なリフとどんなに年月が経っても決してブレることのないCruz Punkの元祖の姿が相変わらず詰め込まれている。全3曲。
☆☆☆★★★ Who We Are / Pavlov's Cat / Opt In
Melodic Punk ------------------------------
Fartathon (2018)
1987年の夏に録音されたLiveageとほぼ同じ時期である1987年3月27日にセントルイスにて録音され、約30年の月日を経てフィジカルで発売となったDescendentsのアンオフィシャルでのLive盤。これまでにもライブ盤はいくつかリリースされているが、4thのツアー時の模様を収録されているためまずは資料性としての価値は高いだろう。正直音質は良くなくこもっているたり所々で音のバランスが崩れたりするため、後半に進むに連れて音質や力強さなどが増しているがライブの臨場感や力強さはあまり感じることは出来ないし、作品としての完成度は決して高くないだろう。しかしその音質や完成度を抜きにしても当時の空気感は感じることはでき、The Beach Boysのカバーを始めそれぞれの楽曲が持つ魅力は損なわれてはいないため音質さえ気にしなければ要するに最高である。全25曲。
☆☆☆★ ------------------------------
Melodic Punk ------------------------------