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From The Tracks

This Machine And I (2009)
Ends Like Thisの解散後に中心メンバーであったMikeが新たに始めたFrom Tne Tracksのデジタル配信でのリリースとなった1st。当初はMikeのソロプロジェクトとして始まっており、Demoの段階では全てを一人でこなしていたが今作から盟友のPatrikがベースとして加入している。しかしMikeのバンドとしての要素は色濃く残っている分、作品全体を通じて一切のブレのない統一感溢れる作品に仕上がっている。北欧特有の陰りのあるメロディに、速さの中にもテクニカルさが全面に出ているサウンドは非常に近代的なアプローチであるがその一方でベースが抜けてこないこともあるが重さをあまり感じさせないため、ゴチャゴチャとした雰囲気の中に独特の疾走感を感じさせる。また近代的なアプローチでテクニカルさが全面に出やすい中で7曲目のようにメロディだけでなくリフからもキャッチーさを感じられるところもある。しかし全体的には少し平面的なミックスになっているためそれぞれの楽曲の完成度は高いものの、強い印象が残る楽曲は少なく作品全体として捉えるべき作品であると言えるだろう。全14曲。
☆☆☆★★ Everything else fade / I can look quite vile for one buried alive
Breaking the deal over crossing the line
Hope you are dead inside / Apology theoretically accepted
No one is ever left behind
Melodic Hardcore PMX "Rise And Shine"
The Greater Distance (2011)
もはや元EndsLikeThisという紹介の仕方すら不要と思われる程に、ある種独特な立ち位置を築き始めている彼らの3rd。良く3枚目のアルバムでバンドは化けるという風に言われる事があるが、彼らもその例に洩れず今作で唯一無二のFTT独自の世界観を構築する事に成功していると言えよう。今までは若干難解な構成などでしっくりこない部分もあったが、今作では相変わらずテクニカル・プログレッシブかつ、高速であるという彼らのスタンスを変える事はない中でもこれまでとは異なり、ある意味それを近代のMelodic Hardcoreの手法で再構築(Re-built)したのが今作ではないだろうか。前作は彼ら独特のスタンスを確立はさせたがメロディが埋もれており正直それ以上のインパクトはなかった。しかし音全体が再構築されたことにより、楽器に埋もれる事なく昔のSwedenのバンドが持ち合わせていたあの何処となく閉鎖的で湿っぽさを漂わせるメロディが生きる結果となっている。今は亡きあのメロディを現代にまで脈々と受け継いでいると言えるだろう。しかしMixの時点でもう少しボーカルを前に出て来た方がまとまりがあるようにも思える。しかしそれを除いても、派手さはなくとっかかりにくい作品かもしれないが非常に味のある作品である。全14曲。
☆☆☆☆ The Greater Distance / This Machine And I / Fifty Feet Under
State Of Grace / Reason Is Able But Hatred Is Mad / Sinking Ships
Stories / Ghosts Of Old / Shout At The World
Melodic Hardcore Astream "Woodfish"

Strong Reaction II (2011)
前作で持ち味、特徴をそのままに生かしながらも、良い意味でわかりやすく新しい世界観を作り出した彼らが楽曲と同様ハイペース、ハイスピードで日本のNot So Young、Emitとのスプリットをリリース。基本的な方向性は変わらないが、前作同様また彼らが短期間ながらも深化・進化をしていることをうかがわせる楽曲となっている。前作同様初期の高速かつ難解な音楽性は鳴りをひそめて、楽曲の中で緩急をつけている。これは今までの彼らの楽曲ではあまり感じられなかった部分であるが、これがあるが故に高速パートがより生きる結果となっている。曲自体は相変わらず短いながらも1曲の中にドラマ性が生まれており、より彼らの世界観に引き込まれる作品である。また、今までは難解なフレーズも多用していたが、今作ではむしろテクニカルな面は鳴りをひそめ楽曲自体がリフを中心としており、その点では昔の北欧のバンドを相変わらず現代に継承しているバンドにより近づいたと言えるのではないだろうか。全体にシンプルに作り込まれているが、今まで以上にコーラスが入っていたりなど近代Melodic Hardcoreの枠に留まらない魅力にあふれた作品であり、正直曲数的には物足りなさを感じてしまう。だからこそ今後の彼らがより楽しみになる楽曲である。全4曲。
☆☆☆★★★ Cowards / Honoring / Verdicts / Curses
Melodic Hardcore ------------------------------
Get Worse (2017)
前作リリース以降、時たまコンピへの参加はあったもののほぼ沈黙状態にあった彼らが突如復活を遂げてリリースした4th。どんな時もぶれない姿勢を貫いてきている彼らの姿は今作でも同様で、北欧特有の哀愁というよりも湿り気や陰影を帯びたメロディは健在である。以前のような荒々しさはなくなってはおり、その分勢いに依存しているようなスピード感は落ちているが、その分今まで以上にコーラスが多彩になり、メロディも軽やかさが増しているためテクニカルな面も相変わらずではあるがそれが自然にサラッと流れていくような印象を受ける。また今作では3曲目のように初期から変わらない高速チューンもあるが、1曲の中でも緩急をつけて速さのコントラストを明確にしている楽曲が目立っている。故にミドルテンポの曲調もあるのだが、ベースは変わっていないため派手さはないものの良いメロディと疾走感が非常に心地よい作品になっている。テクニックを重視しているバンドの多くが1曲の長さが長くなりがちな中で、全体的にスッキリとまとまっているところはある種のアンチテーゼのような印象をも受ける。全10曲。
☆☆☆☆ Get Worse / Winner Takes The Fall Pt. II / Monsters
All You Left Behind / Sirens / Safe / Our Dreams Are Dead Bodies
Redemption
Melodic Hardcore Blender "Welcome To Blenderland"