PMX
Rise And Shine (2007) | |
デモを経てリリースされ、後に日本盤も発売されたPMXの1st。最初から最後まで首尾一貫としてテクニカルなリフを中心に組み立てつつも、アレンジはテクニカルな点を除けば意外とシンプルではあるが変に重さを感じさせることなく、リズムや展開がが目まぐるしく変わりため息をつく間も与えずに最後まで駆け抜ける様は聞いていて心地よい。そしてテクニカルな部分にフォーカスされがちではあるが、メロディはポップ過ぎず、かと言っておざなりになっている訳でもなく、そのバランスが展開の豊富さと合わせて絶妙である。メタリックなフレーズが要所要所に入りつつも緩急を駆使したサウンドはその狙いは十分際立っており、作品に落とし込もうとしている部分は十分詰め込まれているが、勢いに溢れていることもあり全体的には少しゴチャっとしている部分もある。ただしテクニカルでありつつもガチャガチャしているサウンドは初期衝動ではあるが、その洗練されすぎていなさは正統派ではありつつも、個性が光る作品に仕上がっており、バンドとしての可能性を十分に感じさせてくれる名盤である。全12曲。 | |
☆☆☆☆ | Yesterday / Adolesence / Code Red / Facts Are Found / Rock Star Eels / Katy's Song / December Rained |
Fast Melodic Punk | Makeshift3 "Fluorescent Black" |
The Ballad Of Tony Montana (2013) | |
前作からかなりの時間をおいてリリースされた本作は20分を超える壮大な1曲のみで構成されている2nd。これをアルバムと言ってよいのか若干の疑問は残るが、そんなことは些細なことであると思わせてくれるような出来に仕上がっている。モチーフであろうTony Monatanaの半生を情感豊かに表現しており、そこには何かを無我夢中で追い求めて一気に加速する部分や、人生の悪い時期を表現しているかのようにスローダウンして歌い方さえも変えている中盤。そしてその中で救いを差し出しているかのような優しさを感じさせる女性ボーカルとの掛け合い。曲調が転換する時もいきなり変わるのではなく変わる前の余韻を残しながらさりげなく、且つ滑らかに変わっていく。全てのパートがドラマティックであり、最後まで時間の長さを感じさせずに引き込んでいくアレンジは素晴らしく、奇を衒ってこの形になったのではなく全ては必然であったのであろう。全1曲。 | |
☆☆☆★★★ | The Ballad Of Tony Montana |
Fast Melodic Punk | NOFX "The Decline" |
Dark Days EP (2015) | |
今までの作品と比べるとテクニカルな面はそのままではあるもの、音の作りなどから攻撃性が薄まり、優しくなった印象を受けるEP。低音域、特にベースがミッドを上げていて低音の重さの中で丸みのある中音域も前に出ていることと、テクニカルなリフはそのままではあるもののベースラインが目立つようなアレンジになっていることがそう感じさせるのであろう。また勢いが若干減退した分洗練されてきており、ミドルテンポの楽曲・アレンジも取り入れていて緩急を駆使しつつそれぞれのパートの良い点を詰め込んできているような印象がある。特に5曲目はそれが顕著であり、その後の6曲目は前作の組曲的要素を引き続き取り入れてドラマティックな展開を見せている。スコットランドのバンドらしい牧歌的なメロディやサウンドプロダクションは、今までの彼らにはなかった部分であり曲数は少ないながらもよりバンドとして進化したことを伺わせる作品になっている。全6曲。 | |
☆☆☆☆ | Pull The Trigger / Another Year / Brave Face / Dark Days |
Melodic Punk | Hateful Monday "Unfrightened" |
Clochridgestone (2018) | |
2018年3月の初来日とほぼ同じ時期にリリースされた彼らの初となるライブアルバム。ただしライブアルバムでもライブセッションであるために音質もしっかりとしているため作品の完成度としても高いが、何よりも特筆すべきなのは演奏のクオリティの高さであろう。原曲とは所々でアレンジが変わっている部分もあるが、彼らの特徴である速さの中でも際立つテクニカルさはライブでもそのままであり、むしろ全体的に低音が比較的効いているためにより一層その手数や細かいフレーズが生きているように感じる。また比較的それぞれの作品からまんべんなく選曲されているが、初期の楽曲であってもキャリアの為せる技ではあろうが単に勢いだけではなく深みが増しており、アルバムとは異なるような味わいが出てきている。ただしその分どの楽器も比較的均一な音圧であるために、少しメロディが音の立体感的には後ろにあるように感じる部分があるのは少し残念ではある。全13曲。 | |
☆☆☆★★★ | ------------------------------ |
Fast Melodic Punk | ------------------------------ |