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MxPx

On The Cover (1995)
2ndリリース後というまさに脂が乗った時期にハイペースでリリースされたカバーアルバム。選曲も有名所から渋いところまで、更にはセルフカバーに近いサイドプロジェクトであるThe Cooteesの楽曲も含む作品であるが、どれも原曲の雰囲気を残しつつも全てMxPxらしくアレンジし直されている。2曲めは原曲のカントリー色にロカビリー的な要素を、3曲めは元々のエレクトリックなシティポップ感はリフで表現しつつも途中でギアチェンジをして疾走感あふれるサウンドに、5曲目は勢いを出すのではなく意外と繊細に少し落ち着いた雰囲気でサビでもオクターブ下になっている。パンクバンドのカバー作ではあるが、疾走感よりも原曲のメロディを別の切り口で良さを出している楽曲が多く、選曲やアレンジには多大なるセンスを感じるが、やはりもう少し若さあふれる疾走感が欲しかったことは否めずほんの若干物足りなさも感じる作品ではある。全8曲。
☆☆☆ ------------------------------
Melodic Punk ------------------------------
At The Show (1999)
1998年の4th Albumのツアー時のライブを収録した彼ら初のライブアルバム。4thアルバムからの選曲が当然ながら多いものの、彼らの知名度を一気に押し上げた3rdだけでなく1stや2ndからも選曲されているためこの時点でのベストに近い選曲と言えるだろう。元々3ピースであることもあって音源でもシンプルなアレンジであるが、ライブにおいてもほとんどが原曲通りであり曲数が多いながらもスピーディーに展開していく。しかしその中でも3曲目などではライブならではの観客との掛け合いを楽しむかのようなアレンジであったり、原曲よりも更に高速化した楽曲や初期に見られた少しHardcoreライクなショートチューンやカバーも織り交ぜて、MCも入りながらも一気に駆け抜けていく。選曲、演奏、音質、臨場感などすべての面で高次元でまとまったライブ盤のお手本となるような作品であり、彼らの最大の魅力であるライブの醍醐味を十二分に堪能できる作品である。全22曲。
☆☆☆★★★ ------------------------------
Melodic Punk Face To Face "Live"
The Ever Passing Moment (2000)
前々作でバンドとして一気に飛躍を遂げ、前作ではメジャー流通となった彼らがその勢いのままに作成をした5th。前作では少しミドルテンポも増えて大人な要素を醸し出している部分もあったが、今作では完全に油が乗り切った状態であり、その延長線上にありつつも3rdの頃のような勢いも取り戻しておりこれまでの彼らの変遷をバランス良く組み合わせた作品となっている。メロディはこれまでで一番ポップでありながらもキャッチーさや勢いはそのままであり、3ピースの特性を生かしたシンプルながらも一瞬テンポを落として緩急を存分につけていたり、7曲目では4つ打ちでダンサブルさを醸し出していたりなど、アレンジの幅も広がっている。全体的にシンプルながらもメロディの良さとそれを引き立てるアレンジの巧みさ、一聴するだけで耳に残りながらも何度聞いても飽きも来ずにその度に新たな発見がある作品であり、後半が少し曲数が多いこともありダレることは否めないが、それを差し引いても名盤である。全15曲。
☆☆☆☆★ My Life Story / Buildings Tumble / Responsibility
Prove It to the World / Educated Guess / The Next Big Thing
Here With Me / It's Undeniable / Misplaced Memories
Melodic Punk Mest "Destination Unknown"
The Ten Years And Running (2002)
結成10周年を記念して発売されたコンピレーションAlbum。この作品には彼らの代表曲である"Punk Rawk Show"が再録されている。この再録アレンジに関しては好みが分かれているが、個人的には最初に収録されていた2ndの時よりもまとまっているためにこっちの方が好き。もちろん荒削りさがなくなってしまったのは多少残念ではあるが。またそれ以外にも新曲が2曲収録されており、それも含めて一聴の価値はある作品である。またリリース順ではなく一つの作品として楽しめる。なお今作はBest Albumではない。もちろんこの10年に発売された多くの作品から万人が満足するような選曲にするのは難しいことは百も承知だが、この作品以外にも名曲はたくさんあるので一つの他の作品を聞くきっけけになればいいな、という作品。全19曲。
☆☆☆★★ ------------------------------
Melodic Punk ------------------------------

Before Everything & After (2003)
彼らにとっては珍しくリリースまでの期間が開いた6th。ジャケットの段階で以前と異なることは想像できたが、ここまで変化しているとは思わずに正直肩すかし感を覚える作品である。彼らが持っていたポップ感に疾走感や勢いを上手くブレンドしていた楽曲は鳴りをほぼ潜め、ある意味メジャー的な聞きやすさがかなり前面に出ている。基本的にはそこまで劇的な変化をこの作品で遂げている訳ではないのだが、初期から続いていたMxPx節とも言うべきものが薄れロック色が強くなっているのがこの作品である。個人的な彼らの持ち味は3ピースという最小単位から繰り出されるシンプルかつパワフルで疾走感溢れる楽曲の数々である。それなのにギターがもう1本入っていたりなど、大分チャレンジをしたというか音楽的に意欲的な作品になっているのであろう。今作ではNFGやThe Atarisなどからゲストが多く参加しているが、正直個人的にはあまり良い結果を産んでいない様な印象を受ける。Pop Punkの作品としては決して悪い訳ではないが、彼らに期待することから考えると正直作品としては若干残念な結果になっている。全16曲。
☆☆★★★ Play It Loud / Well Adjusted / Brokenhearted
Quit Your Life / The Capital / You Make Me, Me
Pop Punk Good Charlotte "The Chronicles of Life And Death"

Left Coast Punk (2010)
圧倒的な完成度を誇る1曲目からMxPx節がエンジン全開の5th EP。1曲目は彼ららしいポップでキャッチーなメロディが疾走感あふれるアレンジの上を駆け抜けるような楽曲であり、3rd〜5thあたりを彷彿とさせる、これぞMxPxというような曲である。2曲目はポップなメロディが荒々しいアレンジと融合しつつも、後半ではテンポを落としてメリハリを付けた良曲である。しかし3曲目以降はTrumbledownなどの活動に若干引きづられたのか、ミドルテンポ主体だったり、少しHardcore色が強かったりなど様々な要素を取り入れた分、本来の彼らの持ち味である実直なまでのストレートでキャッチーなメロディが弱くなってしまっていることは否めないだろう。EPという性質上様々なアプローチをした楽曲があるのは当然ではあるものの、少し残念な印象も受ける作品である。全6曲。
☆☆★★ One Step Further / DeSperate to Understand
Shanghaied In Shanghai / End
Pop Punk Auther "Loneliness Is Bliss"

Acoustic Collection (2014)
活動22周年を記念して発売されたAcousticアルバム。タイミング的には若干変な気もしなくはないが、電気音を一切入れることなく、その一方でギターだけではなく多彩なゲストを迎え入れてのリアレンジは元々シンプルな楽曲をよりシンプルにしつつも、どれだけキャリアを重ねても変わることのない甘酸っぱいメロディをより鮮明にしている。特に女性ボーカルのコーラスが比較的多く取り入れており、バンドの時とは異なった楽曲の魅力を堪能することができる。また、アレンジに関しても大幅に変わっている訳ではないが所々リズムが変わっていたりなど、アコースティックならではの静と動がはっきりとした緩急に富んだ作品になっている。収録曲も近年の作品が多いながらも比較的幅広く歴代のアルバムから選曲されており、万人にお勧めできる作品である。全12曲。
☆☆☆ ------------------------------
Acoustic ------------------------------