thewarpedradio

Face To Face

Don't Turn Away (1992)
元々はDr.Strangeからのリリースであったが、後にFatから再発された程に名曲のオンパレードである1st。Treverの若々しい声で歌われる力強くも爽快なメロディも魅力の一つではあるが、それ以上に個人的には低音よりもミドルを上げてブリっとしたMattのベースを最大限に生かしたそのバランスが最大の魅力である。もちろんこれは音質や時代的なものはあるかもしれないがそれを差し引いても、である。オクターブでギターを重ねている部分はあるが、基本的にはパワーコードでシンプルに勢いを生み出しているギターに安定したドラム。そしてその間を埋めるかのように時にはドラムと共にリズムを支え、時には第二のメロディとも言えるような艶やかなフレーズを奏でているベース。この三位一体ともいうべきバランスは80年代以降のハードロックなどへのカウンターアクションとも言うべき時代性を象徴しているかのようであり、まさにこの時代を空気感を詰め込んだ作品である。このシンプルであるが故にごまかしのきかないサウンドをいとも簡単に、そして名盤として成し遂げているこの作品はMxPxとはベクトルは若干異なるものの、3ピースの完成形の一つがここに詰め込まれていると言ってもいいだろう。それくらい重要であり必聴の名盤である。全13曲。
☆☆☆☆★★ You've Done Nothing / I'm Not Afraid / Disconneted / I want
You've Got A Problem / Nothing New / Walk Away
Melodic Punk The Tank "There Is No "I" In Band"

Over It (1994)
1stと2ndの間にリリースされた、ファンの中でも根強い人気を誇るEP。アルバムと収録曲が被っている部分もあるが、こちらに入っているバージョンの方が3ピースのシンプルながらも力強いリフやメロディがより映えており、初めてこのバンドを聞くならばこの作品から、と言っても良い作品である。3ピース時代の初期の代表曲は大方網羅しており、特に1曲目や4曲目はこの作品に収録されている方が断然良い。それ以外の曲においてももちろん3曲目なども外してはならない名曲である。発売時期が時期だけに1stと2ndのいいとこ取りではあるが、限界まで余分なものをそぎ落としたスピーディーでソリッドなアレンジに、耳にいつまでも残るメロディで歌いあげられる分かりやすい歌詞。そしてそれを象徴するかのようなジャケット。曲数は少ないながらも全てが完璧に作り上げられた1枚である。1stのタイトルがアルバムにではなくこちらに収録されているのも謎ではあるが、名曲である。全7曲。
☆☆☆☆★★ I Want / Nothing New / Disconnected / A.O.K.
I Used To Think / Don't Turn Away / Not Enough
Melodic Punk Digger "The Promise Of An Uncertain Future"
Standards & Practices (1999)
彼らの、またはソロ作品まで考えると特にTreverのルーツが垣間見れるような選曲となっている彼らの初となるカバーアルバム。恐らく翌月にリリースされた物議を醸した4thと同じ時期に制作をされたこともあり、速さや疾走感よりはジャケットからも漂うような暗さであったり、RockやEmo要素も強くなったアレンジとなっている。それは空間系のエフェクターを強めにかけて、パワーコードだけでなくアルペジオも多用しているところにも現れている。原曲自体も比較的エモーショナルなメロディが印象的な楽曲が揃っているため、よりそういった面が強調されているように感じられる。原曲の魅力を十二分に発揮するためにどっしりと構えて哀愁度合い全開であるが、少し地味に写ってしまう作品である。全10曲。
☆☆☆★ Chesterfield King / Sunny Side of the Street
Helpless / That's Entertainment
Melodic Punk ------------------------------
How To Ruin Everything (2002)
前々作でEmoやRock要素を大々的に取り入れたサウンドで賛否両論を呼んだ彼らが、その路線からようやく脱却して再びMelodic Punk路線へと復帰を果たした6th。しかし名作を連発していた初期の3rdまでとは同じ路線であってもベクトルが異なると言えるだろう。彼らの持ち味はシンプルなアレンジが生み出す疾走感と力強く哀愁漂うメロディが荒々しさの中に合わさることによって最大限に発揮されているが、今作では疾走感はあるもののきれいにまとまりすぎている感もあったり、リフが良くも悪くもうねりが強調された独特なノリになっているものがあったりなど音楽性においてはここ2作をふまえての成長を感じさせる一方で若干ギミックが凝っている感もあって、彼らの持ち味が半減してしまっているようにも感じられる。楽曲によっては素晴らしいものも点在しており、初期のことを考えなければこれはこれで良い作品である。全15曲。
☆☆☆★★ Bill Of Goods / The Take-Away / The New Way
The World In Front Of You / Shoot The Moon
Fight Or Flight / The Compromise
Melodic Punk Whippersnapper "The Long Walk"
Protection (2016)
再結成後はコンスタントに作品を発表している彼らの9th。解散後にボーカルであるTreverがソロで活動していたことに引きづられていたのか円熟味や渋さが増した落ち着いたPunk Rockが作品の中心となっていたが、今作では大名盤の1st以来となる約20年ぶりのFATからのリリースであることが影響したのか、その傾向はありつつも初期の3ピースの頃の疾走感やソリッド感が戻ってきて、キャリアに裏打ちされたものとうまくブレンドされている印象を受ける。確信犯的にも感じる初期への原点回帰のようなメロディとギター-ワーク、そして経験に裏打ちされた少し枯れた加減が絶妙な疾走感が入り交ざった楽曲たちは初期の作品を超えるとは言いづらいかもしれないが、これこそがFace To Faceだと言わんばかりの熱量を持っている。しかし全てが疾走しているわけではなく、疾走感は維持しつつもミドルテンポの楽曲があったり、少しエモーショナルなメロディや展開を押し出した楽曲があったりと彼らの今までの作品を包括しているかのような作品であり、円熟味を増した好盤である。全11曲。
☆☆☆☆ Bent But Not Broken / I Won’t Say I’m Sorry / Double Crossed
See If I Care / Protection / Fourteen Fifty-Nine (A Hate Song)
Keep Your Chin Up / Middling Around
Melodic Punk Millencolin "True Brew"
Hold Fast (2018)
意図的かどうかはわからないが前作で原点回帰をした彼らがリリースした初のAcousticアルバム。選曲自体は1stから3rdまでが6曲と比較的初期の名盤からの楽曲が多く、それだけで作品自体の完成度は保証されたようなものではあるが、アレンジ自体ももっとアコギを強調してアコースティックでありながらもストレートに力強く歌い上げるかと思ったら、意外と言っては失礼に当たるが非常に繊細にリアレンジされている。Treverのソロの経験や復活直後の2作の作品の方向性がこの作品に反映されていると言えるだろうが、全体的に牧歌的な雰囲気となっている。カントリー色を取り入れてメランコリーは雰囲気を出した7曲目や8曲目にはフラメンコやクラシックの要素も感じられる一方で、アコースティックではありながらもバンドサウンドであり、パーカッションやベースが効果的に鳴っている。原曲の良さを別の側面で堪能できる、じっくりと耳を傾けたい作品である。全10曲。
☆☆☆★ ------------------------------
Acoustic Strung Out "Black Out The Sky"