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Saosin

Translating The Name (2003)
この一枚でまさに一気に頂点まで上り詰め、そして活動中から既に伝説になったと言っても過言ではない1st EP。それほどまでにこの作品は他の類似するバンドを凌駕しているだろう。軽く聞き流すと、そこまでではないように聞こえるのだが、聞き込んでいくとまずは演奏力の高さにやられるだろう。元々キャリアのあるメンバーが集まっているためか、すごく安定感がある。この手のジャンルではギターによく注目が集まるがそれ以外にもこのバンドはドラムの手数の多さや、ベースの派手さはないものの安定しているところなどリズム隊が秀逸である。そういった音の底辺がしっかりとしているからこそAnthony Greenの神懸かり的なボーカルが最大限に生きている。彼のすごさは言葉では表せない位だ。高音で透き通っていながらもどことなく癖があり、耳から離れない。それはScreamしている部分も同様。明らかに他のバンドを凌駕しているだろう。このEPは聞いて損することはなく、Screamo好きならば何が何でも聞いてもらいたい作品である。全5曲。
☆☆☆☆★ Seven Years / Translating The Name
3rd Measurement In C / Lost Symphonies / They Perch On Their Stilts, Pointing And Daring Me To Break Custom
Screamo Circa Survive "The Inuit Sessions"
Saosin (2005)
前EPリリース後VoであったAnthony Greenが脱退し、代わりにCove Reberが加入し発売された2nd EP。なおVo以外にもGuとDrも変わっている。メンバーチェンジを経ても基本的な路線は全く変わっていないが個人的には手放しで賞賛できない作品である。決して楽曲が良くないとかそういう訳ではないが、どうしてもVoを前任のAnthonyと比べてしまう。声質などは似ており一見すると変わってないようにも思えるのだが、力強さがなく高音のメロディになると線が細く聞こえてしまう。またScreamの部分がほとんどないのも気になる。何か雰囲気は変わらないけれども、前のような輝きはなく普通のバンドになってしまった印象は否めない。決して悪くはないが、何か楽曲に疾走感的なものも生まれてしまい、正直前作が良すぎたためだとは思うが今作は前作からのファンには賛否両論ではないだろうか。彼らの真価が問われるのは次作であろう。次の作品がどうなるかによってこのバンドの行く末が変わるような気がする。また個人的にはAcousticやライブ音源を入れるならば新曲を入れて欲しかった。全5曲。
☆☆☆ Bury Your Head / I Wanna Hear Another Fast Song
Screamo My American Heart "My American Heart"
Saosin (2006)
バンドの顔としてボーカルが変わったことによって、よりバンドとしての進化が問われた1st。前作で気になっていた部分を改善したというよりも、初期との離別を高らかに宣言しているかのような、新たな世界観を作り上げようとしている作品になっている。それはやはりAnthonyの抜けた穴を埋めるのは難しかったのかスクリームはあるものの、鬼気迫るような心の奥底にまで訴えかけるくるようなものではなく、それ自体の印象はあまり強くない。それよりもむしろ一つ一つの歌を聞かせる、重視しているような世界観へと変化している。メタリックな要素はなくなった訳ではないが、若干鳴りを潜めているかのように感じられる。しかしそれは切なさを増長する高音域のメロディを前面に出そうという現れのように感じる。線が細くなりがちな高音のクリーンボイスが埋もれてしまう可能性があるが故の軽めの音作りによるのかもしれないが、それが叙情性よりも独特の浮遊感を生み出す結果となっているようにも感じられる。Coveが元々持つ独特の湿り気のある声質の可能性を十分に引き出した作品と言えるだろう。全12曲。
☆☆☆★★ It's Far Better To Leanr / Sleepers / It's So Simple / Voices
Follow And Feel / Come Close / You're Not Alone
Screamo My Chemical Romance
"I Brought You My Bullets, You Brought Me Your Love"