thewarpedradio

Senses Fail

From The Depths Of Dreams (2003)
心臓をマイクで叩くかのような音から一気に絶叫へとつながる、彼らのデビュー作になる1st EP。当初はECAから300枚限定でリリースされていたが、その完成度から当然あっという間に廃盤となり、1年も経たずにアートワークの変更とボートラを収録してDrive Thruから再発されたのが本作であるが、この時代の多くのScreamoバンドがそうであったように、Hardcoreの影響は当然あるもののエモーショナルな要素が比較的強く、力強いというよりも若さや青さに溢れている。バンド初期にしか現れない、この瑞々しさが本作の最大の特徴であり、スクリームも青さがあるがゆえに重さがありながらも非常に爽快感がある。部分的にはメタリックなフレーズを多用して重厚感を醸し出していたりするものの純粋なScreamoとは言えない部分もあるが、この純粋なまでの爽やかさと結合したサウンドは他の作品では感じることのできない絶妙なバランス感である。全8曲。
☆☆☆★ Steven / Free Fall Without A Parachute / The Ground Folds
One Eight Seven / Handguns & Second Chances
Screamo Hidden In Plain View "Hidden In Plain View"
Let It Enfold You (2004)
Drive ThruからVagrantへ移籍してリリースされた待望の1st。前作ではセンスに溢れながらも若干の稚拙さもあった彼らではあるが、今作ではその部分が完全に払拭され洗練されたと言えるだろう。ジャンルとしてはスクリーモの王道を行くようなサウンドであるが、他と異なるのはメロディや楽曲の質感の部分である。Emoが持つ神々しさや儚さなどは十二分に備えているが、彼らの場合はHardcoreの要素もそれ以上に強く、少し低音気味のボーカルの声質もあるが先の細さを感じることはなく、むしろ力強さが前面に出ている。そしてそのメロディの完成度が派手さはないながらも非常に印象的な楽曲が多く、そしてそれに混ざりあうスクリームやシャウトが良いアクセントになってる。しかし洗練された分EPの頃の様な多様性は薄れ、所々にセンスの良さを感じる展開はあるもののシンプルに王道を行き過ぎた感もなくはないところは残念なところでもある。全13曲。
☆☆☆★★ Tie Her Down/Lady In A Blue Dress/You're Cute When You Scream
Rum Is For Drinking, Not Burning/Choke On This/Let It Enfold You
Martini Kiss
Screamo The Used "The Used"
Life Is Not A Waiting Room (2008)
Screamoをベースとしながらもそれに留まらない多様性を作品の中に常に入れ込んでいる彼らの3rd。ベースとなるものは常に変わらないが前作ではScreamもありつつも少しPop Punk側に寄せた感もあったが、今作では今まで以上に静と動のコントラストが作品全体で明確になっているような印象を受ける。Pop PunkをベースとしながらもEmoの荘厳さや青臭さを全面に押し出した1曲目や11曲目があると思えば、2曲目や5曲目のようにHardcoreの力強さや加速力を取り入れメロディもScreamとPop Punkの両方の要素を取り入れた楽曲があるなど今までの彼らの得意としていたことをこの3枚目となる今作で全方位的に広げつつも洗練させてきている印象を受ける。元々定評のあったエモーショナルなサウンドに様々な表情を見せるようなメロディが乗ることにより、メジャー感も出しつつもドラマチックにメロディが躍動しており、そういった意味では1st EPの頃に近い精神性を感じさせてくれる大名盤である。全12曲。
☆☆☆☆★ Lungs Like Gallows / Garden State / Family Tradition
Wolves at the Door / Four Years / Yellow Angels / Chandelier
Screamo Thrice "The Artist In The Ambulance"
Follow Your Bliss (2012)
活動開始10週年を記念してリリースされた新曲4曲を含むベストアルバム。彼らのこれまでの作品はベースは一貫して変化はなかったものの作品ごとに毛色が異なるような印象を受けていたが、改めて並べて収録されると常にScreamoやPost Hardcoreを基調として底にメタルの要素などを効果的に使い分けていることが如実に感じ取れるだろう。1つの曲の中にEmoやMetal、Hardcore、Pop Punk、Screamなどを緻密に構成されたアレンジの中に組み込んでおり、その多様さがポップかつScreamを活かした力強いメロディと相まって一切のブレがなく、彼ら独特の世界観を構築していると言えるだろう。日本盤では1st EPの曲が差し替えられている部分は、おそらく権利の関係であり仕方ない部分ではあるが残念ではある。全20曲。
☆☆☆☆ War Paint / Vines / Early Graves / Waves
Screamo Silverstein "Discovering The Waterfront"