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Skumdum

Demoner (1997)
自主制作のデモアルバム2枚や幾つかのEPなどを経て発売された待望の1st。デモの頃よりも洗練され、バンドとしての初期衝動あふれる荒々しいサウンドと共に、Trall Punkが持つ民謡性や牧歌性がうまく混ざりあった絶妙なバランス感が堪能できる作品になっている。母国語で歌っているため少し癖はあるもののそこまで違和感がある訳ではなく、勢いと荒々しさが逆にメロディとマッチすることにより懐かしさと新鮮さが入り交ざっている。他のTrall Punkの作品に比べるとメロディが実は聞きやすくポップでキャッチーであることは良さを活かしているが、母国語でテンポが速いということが今作の、そして彼らの最大の特徴であろう。彼らの持ち味の一つであるメロディの良さはこの頃から健在であり、1stのこの時点で既にSkumdumとしてのサウンドは完成していると言えるのではないだろうか。オリジナル盤は入手困n難であるが、2009年にBells Onからボートラ付きで再発されておりぜひともTrall Punkの入門編の1つとして聴いておくべき作品のうちの一つである。
☆☆☆☆ Förändringar / Demoner / Sista Droppen / Lilla Blå
Ångrar Mig Än / En Smula Pop / Äntligen Fri / Rädslans Labyrint
Trall Punk De Lyckliga Kompisarna "Le Som En Fotomodell"
Det Vi Kan Bäst (2002)
前作リリース後EPやBoldとのスプリットなどを挟んではいるが、単独正式音源としては約5年ぶりとなった彼らの2nd。これまでのTrall Punkと高速メロディックの融合という路線はそのままに今作ではそれが全方位的に洗練されており、完成の域に達したと言ってもいい名盤となっている。母国語で謳っている分英語に比べると言葉がメロディに対してネットリ絡みつくかのようなメロディになっているが、それが決してクドさに繋がっておらずよりキャッチーになったメロディや少し明るさを全面に出したサウンドプロダクションにマッチしている。前作に比べるとミドルテンポの曲も少し増えており、作品全体が高速というわけではないがその分格段に良くなったメロディが生きる形になっている。しかしそれでも速さとポップさを両立させた楽曲もまだまだ多く残っており、テンポ的には様々な表情を見せてくれるが名曲が揃っているのが今作であろう。全13曲。
☆☆☆☆★ Kompatibla / Vad Jag Undrar / En Stjärna Föll / Det Vi Kan Bäst
En Sista Tjänst / Säg Mig Den... / Varma Minnen
Trall Punk Radioaktiva Räker "Labyrint"
War Is Money (2004)
3rd Albumからの先行シングル。アルバムで英語にシフトしたことが賛否両論を巻き起こしていたが、このシングルも当然ではあるがその延長線上にある。メロディの中に今までのTrallPunk感は要所要所に感じる部分はあるが、全体としてはその要素はかなり抑えられている。初期の彼らのTrall感を期待してしまうと彼らに求めているものはコレではないと思ってしまう部分もあるかもしれないが、今までの作品よりもあらゆる面で洗練されており、良い意味で過去の自分達から脱却したことを示している作品である。しかもこれは過去の流れを保ちながらであり、3曲目はTrall感を残した彼ららしいメロディと近代メロディックが融合している曲であり、4曲目はジャンルの細分化に関係なく文句なしの名曲である。なお、5曲目以外は日本盤にボーナストラックとして収録されている。全5曲。
☆☆☆★ War Is Money / Compatible / So Sorry! / Parasite
Trall Punk Stukas "Showing Off"
Skum Of The land (2005, 2007)
これまではどちらかと言えばTrallPunkの中で有名であった彼らだが、今作以降その枠を飛び越えてPunkというジャンルの中での良い意味での大衆化・一般性を勝ち得たと言っても良いだろう。そのきっかけとなったのがアルバムとしては3rdに当たる今作であろう。今作はそれまでの母国語から全編英語へと歌詞が変わっており、そういう意味でも世界進出を若干意識したのではないかと思える。しかし歌詞が英語になったからと言って、これまでの彼らが持っていたTrall的な要素が皆無になったわけではない。もちろんこれまでの作品に比べては楽曲のアクやクセは薄くなり、かなり聞きやすくなっているがために、その点が初期のファンには受けが良くないのかもしれない。しかしそれぞれの楽曲に焦点を当てていくと、3曲目や11曲目等のように、TrallPunkの香りを色濃く残している曲や展開が多くある。本来Punkは音ではなく、思想・姿勢であったはず。それは彼らがどんな曲を奏でようとその本質的な部分に変化はなく、むしろ過去にずっと留まらずに、それを土台として発展させようとしているのが今作であろう。確かに牧歌的な要素が少なくなったのは残念ではあるが、様々な楽器や音色を巧みに使ったり、それぞれの楽曲が色々な表情を見せながらも1枚の作品としてまとまっているため、個人的には今作も大好きな作品である。今後彼らがどのような方向に進むのか、どんな音楽を届けてくれるのか非常に楽しみである。全12曲。
☆☆☆☆ I Gotta Go / A Big Disagree / War Is Money / Take A Stand
Same Old Song / I'm The King / El Perro De La Muerte
Tragic Distortion
Trall Punk Drunktank "The Infamous Four"
2 Sides Of The Story (2008)
アメリカのHero Of Our Timeとのスプリット。前作のアルバムで新しいファンベースを開拓した一方で、一部のファンの中では否定的な意見も多少あった彼らはあるが、今作ではものの見事に良い意味でリスナー側の期待を裏切ってくれたと言えるだろう。1曲目から前作で新たに示したポップさはそのままに、初期のTrall Punkの要素が復活した新しい彼らの姿が示されていて、この作品でバンドとしての新境地に達したと言ってもいいのではないだろうか。しかし相対的に完成度が高い冒頭の3曲は後に再発盤のボーナストラックとして収録されてしまっていることもあり、本作のみで聞けるのは後半の3曲だけというのは少し残念なところではある。しかし相手側のHero Of Our Timeも含めて必ず聴いておきたい作品であることには変わりない。全6曲。
☆☆☆★★ Proud Minority / Paradise / Best Of Endings
Resaca En Las Chabolas / I Timrs Like These
Trall Punk Hero Of Our Time "2 Sides Of The Story"
Traveller Anthems (2013)
活動開始20周年を祝う形で2013年に毎月デジタル配信されていたシングルをまとめた待望の4th。元々シングルで発売されていたこともあり、どの楽曲も非常にクオリティが高く、3rd以降のアルバムで見せたポップさと、Hero Of The Timeとのスプリットで見せた初期のTrall Punkを重視した牧歌的要素の二面性が今作では絶妙なバランスで混ざり合っている。どちらかに寄り過ぎることはなく、むしろメロディはTrall Punk、アレンジによる疾走感や爽快さはMelodic Punk寄りという彼らにしか出来ないサウンドがこの作品で完成したと言ってもいいのではないだろうか。もう少し元々のTrall Punk要素を出して欲しいと感じなくもないが、民族的要素を存分に含んだメロディが近代的で洗練されたMelodic Punkの上を縦横無尽に駆け抜けるサウンドは新鮮である。全14曲。
☆☆☆☆ Ten Thousand People / Controlled / Rönnskär / The Rising
Demons From The Past / Never Ending War / Sluts Forever / Shine
Trall Punk Trevolt "I All Hast"