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The Softer Side

Disappear (2006)
Inspection 12のメンバーを擁するThe Softer Sideの2nd。前作に比べて作品自体のクオリティが格段に上がっているが、何よりも今作では近年の一つのキーワードとして欠かせない存在である哀愁感というものはほとんど感じなく、むしろ穏やかさ・優しさに満ち溢れている作品と言えるだろう。楽曲自体やアレンジの随所にInspection 12特有のリズムチェンジやアレンジなどのらしさは見られるが、彼ら以上にMelodic Punkの枠にとらわれていないかなり幅広い音楽性の作品と言えるだろう。前作からの疾走感は維持しながらも、良い意味でメロディに変に力の入った力強さがなくある種TheBeatlesのような普遍的なものを感じさせ、高速ナンバーでも荒々しさを感じさせないのは彼らの最大の特徴だろう。しかしそれでも根底にはMelodic Punkがあることは疑いようもなく、楽曲自体も潔く無駄なものを排除したシンプルであるが故に、彼らの作り出すメロディ・世界観がダイレクトに訴えてくる好作品である。全10曲。
☆☆☆☆★ Mirrors / Give, Take, Breathe Without / Run / Let Me In
Living Alone Is Never Easy / Missing / Hail To The Ambitious
Agoraphobic
Melodic Punk No Use For A Name "Hard Rock Bottom"
Rise From The Embers (2014)
Inspection 12のメンバーによるサイドプロジェクトとして有名な彼らの長年の沈黙を破るEP。若干年月による部分で荒々しさは鳴りを潜めた感があるものの、基本的な路線は前作までと何も変わっていない。一抹の不安を感じさせるインストから始まるが、その後に続くのはどこを切り取っても彼ららしいメロディのオンパレードである。今までのエバーグリーン的な響きは減っているが、その反面力強くも少し枯れたような哀愁漂うメロディはInspection 12の作品にも共通するものがあり、期間が空いても変わらない彼らの魅力が詰まっている。またその一方で変な重さはなく、メロディを邪魔しない程度にメタリックなフレーズを挟み込んでいたりなど、最大の持ち味であるメロディだけではなくそういって面でも楽しめる作品になっている。そのリフの中に様々なアプローチやシンプルながらも多様な展開をしているためにそれぞれの曲は今までよりも若干長めになっているが、それを感じさせない程に練り込まれた本作の完成度は高く、次作への期待も否が応にも高まってしまう。全7曲。
☆☆☆☆ Rise From The Embers / Nothing To Say / Still Moving On / Love And Lust / Eleven One Eight / Wouldn't Change A Thing
Melodic Punk Inspection 12 "Get Rad"