No Use For A Name
Incognite (1990) | |
EPを経ての1st Album。この頃はまだ3ピースであり、この作品はFatに移籍後の彼らを想像して聞くとつらいかもしれない。哀愁漂うメロディはどこにも存在せず、全曲がHardcore的な香りが漂っている。Tonyの声も違っている。これを若さ故の今まで聴いてきた音楽の影響が素直に出たと取るか、ただのまねであると取るかはリスナー次第だろう。しかし演奏はこの頃から疾走感の中にも力強くしっかりとしており、とても初の正式音源とは思えない。全12曲。 | |
☆☆★★★ | D.M.V. / Hail To The King |
Melodic Punk | No Fun At All "Visions" |
Don't Miss The Train (1992) | |
前作リリース後4人編成となって発売された2nd Album。まだ前作の延長線にあるような作品であり、Hardcore的なリフで曲を引っ張り力強いVoによって全くもって哀愁のないメロディが歌われている。これはこれで嫌いではないが、それでもTonyの声質はやはり哀愁漂うメロディがあってこそ最大限に生かされるのではないかと思ってしまう。しかし曲自体の質は前作よりも上がってきており、タイトル曲である”Don't Miss The Train”など数曲は名曲も入っているが、作品全体としてはまだ苦しいものがある。全13曲。 | |
☆☆★★★ | Born Addicted / Tollbridge / Don't Miss The Train |
Melodic Punk | 59 Times The Pain "More Out Of Today" |
The Daily Grind (1993) | |
Fat Wreck Chordsに移籍して発売された彼らの3rd Album。前作までの流れを受け継ぎながらも、少しずつのちに見られる様なNUFANらしさが表れてきた作品。多少メロディにも哀愁が漂ってはいるが、やはりまだHardcoreの香りは抜けておらずTonyの声もやはりまだ良くも悪くも力強い。個人的にはこの頃の彼らをリアルタイムで聞いていないため聞いている人には申し訳ないが、初期のHardcore的なアプローチをしているNUFANは個人的には余り好きではない。今作では良い曲はいくつかもちろん収録されてはいるが、なぜかあまりこの作品を個人的には聞く機会は少ない。全8曲。 | |
☆☆★★★ | Until It's Gone / Countdown / Feeding The Fire |
Melodic Punk | SNFU "Fyulaba" |
iLeche Con Carne! (1995) | |
どうしたのだろうか彼らは…と言う位に前作までとは比べものにならない程の作品を生み出し飛躍的な音楽的成長を遂げた4th Album。前作と比べてそこまで路線変更したという感触はないけれども、それまでのNUFANとは何かが違っている。恐らくそれはメロディによる部分が大きいだろう。前作までのTonyの声の力強さがいい意味で弱まり多少哀愁漂う様な声となったために、より一層メロディに磨きがかかったと言えるのではないだろうか(それでもまだ前作までのようなアグレッシブさは残っているが、それが今作では全ての面に置いて良い方向へ作用している)。ギターも所々Hardcore的な要素は感じられるが、それ以上にメロディを引き立たせるためのリフが今回から多く見られ、ギターだけでも泣ける。笑 これぞまさにMelodic Punkといった感じの1枚であり、1曲目からやられることは必死であろう。特に3曲目の"Soulmate"はリリースからもはや何十年と経過しているにもかかわらず未だに色褪せない名曲として君臨している。この辺りからは初めて彼らを聞く人でもすんなり聞ける作品である。全12曲。 | |
☆☆☆☆★ | Justifies Black Eye / Couch boy / Soulmate / 51 Days Leave It Behind / Redemption Song Straight From The Jacket / Wood / Alone / Exit |
Melodic Punk | Face To Face "Over It" |
Making Friends (1997) | |
NUFAN史上最高傑作との呼び声も高い5th Album。前作からメンバーチェンジがあり元Face To FaceのMatt Riddleがベーシストとして、ギターには現Foo Fighters、Gimme GimmesのChris Shifrettが担当している。前作で見せた進化をより突き詰めた形となっており、全曲が疾走感溢れる仕上がりとなっている。彼らのライブではもはやおなじみの"What's your name?""Fuck you!! That's my name!"のかけ声で始まる1曲目や、Dance Hall CrusherのVoとのジュエットの4曲目などあげていけばキリがないくらいの完成度であり、これを名作と言わずに何を名作と言うのだろうか?というくらいの捨て曲なしの作品である。Tonyの哀愁漂う声とメロディはこの頃から完全に定着し、その魅力を疾走感溢れる曲調の中で最大限に生かす形となっており、また所々に入るストップ&ゴーやテンポチェンジがこれまたたまらない。ライブで映える曲ばかりであり、コーラスもツボを押さえながらきちんと入っている。まさにMelodic Punkのお手本というべき作品であり、確実に押さえる必要がある作品であると言える。全12曲。 | |
☆☆☆☆☆ | The Answer Is Still Now / Invincible / Growing Down On The Outside / A Postcard Would Be Nice Secret / Best Regards / Revenge / Three Month Weekend Fields Of Athenry |
Melodic Punk | NOFX "White Trash, Two Heebs And A Bean" |
More Betterness (1999) | |
前作までが初期の勢いを引きずりながらもTonyの哀愁漂う声質やメロディを生かそうとしていたならば、今作ではメロディをより生かそうとした作品であろうと感じる6th Album。駄作ではないがメロディを最大限生かそうとした反面、疾走感や勢いが失われていることも否定出来ないであろう。実際には速い曲もあるのだが、前作みたいな全体的な力強さがなくなり、音的にきれいにまとまっている。しかしそれでも彼らの狙いは完全に成功し、漂う雰囲気が今までにはない程に哀愁漂うものとなっている。メロディの良さは彼らの一連の作品の中でも上位にはいる程である。スピードを落としたからこそメロディがすんなりと耳に一番に届き、最後まで残っている。これはこれでもちろん彼らの中の一面であり、聞いて損することのない作品である。ただ個人的にはどうせライブで速くなるのだから最初っから速くして欲しいとの思いも聞くたびに常に感じる。全14曲。 | |
☆☆☆☆★ | Not Your Savivor / Chasing Rainbows / Lies Can't Pretend Why Doesn't Anybody Like Me? / Fairtale Of New York / Pride Always Carrie / Six Degrees From Misty / Coming Too Close |
Melodic Punk | The Ataris "Blue Skies, Broken Hearts... Next 12 Exits" |
Live In A Dive (2001) | |
これ以後シリーズ化するLive In A Diveの第1弾。これが発売された当時はまだ彼らは3回連続の来日ドタキャン継続中であったために、もちろん彼らのライブを見た事がなく、かなりの興奮と共に最初聞いた事を覚えている。彼らのライブを体験した人には実感として感じられると思うが、彼らの演奏は本当に一分の隙もない位に完成されており、またCD以上の疾走感や臨場感が伝わってくるのはやはり長年シーンのトップに君臨していることの表れであり、流石だなと思わざるを得ない。またこのシリーズの特徴としてやはり音がいいのも醍醐味であろう。音源と同じように各パートの音まで聞いていて楽しめる。まだ彼らのライブを体験したことのない人はとりあえずこの作品を。また選曲もこの時点でのほぼBest的なセットリストになっているために、これから彼を聞こうとする人にもいいのではないだろうか。全20曲。 | |
☆☆☆☆★ | ------------------------------ |
Melodic Punk | Brackets "Live In A Dive" |
Hard Rock Bottom (2002) | |
誰が何と言おうと彼らはもう終わったのではない、新たな世界へと到達したのだと感じずに入れらない彼らの7th Album。確かに以前に見られた勢いは演奏の成熟度がより上がったために、一聴すると感じられないかもしれないがテンポ自体は全く変わっていない。いや前作に比べたら格段に上がっているため疾走感は抜群である。ちょうど前作と前々作の中間に位置する様な作品であり、NUFAN特有の哀愁漂うメロディは今作でも健在であり涙なしには聴けないアルバムである。彼らのこのどこか懐かしいメロディは、Tony自身が語っている様にBeatlesからの影響が大きいのだろう。聞けばすぐにNUFANだと分かる、そしてすぐにシンガロング出来るメロディ。様々なMelodic Punk Bandがいる中でここまでメロディに特徴があり、絶賛されるバンドは他にいないだろう。とりあえず聞いて損をしないはず!なお今作からギターがChrisに変わってDaveが加入している。全13曲。 | |
☆☆☆☆☆ | Feels Like Home / International You Day PreMedicated Murder / Dumb Remainders / Any Number Can Play Friends Of The Enemny / Angela / Let Me Down This Is A Rebel Song / Nailed Shut |
Melodic Punk | For No One "Falling Down" |
Keep Them Confused (2005) | |
前作から早3年。やっと出されたNUFANの8th Album。もちろん演奏に関しては全く問題なし!彼らの場合はアルバム毎に微妙にスタイルを変えるが、今作ではTony本人も言っているように、前々作である"More Betterness"の頃に戻ったような印象を受ける。彼らの最大の特徴である哀愁漂うメロディは健在ではあるが、前作のような疾走感溢れる様な楽曲がほとんどなくミドルテンポの曲が中心であることは個人的には少し残念である。しかしその中でも前半に収録されている曲は多少前作の雰囲気も感じさせ、良い出来であろう。特に1曲目の”Part Two”は最初に聞いた時感動の余り、涙目になった程の名曲である。ただし5thからの恒例であった女性Voの曲もなく、曲も後半になると多少単調になってきており少しだれる部分もなくはないが、それでもメロディがいいことには全くもって変わりはなく、彼らのファンでなくとも押さえておきたい作品。全12曲。 | |
☆☆☆★★ | Part Two / Three Will Be Revenge / For Fiona Check For A Pause / Black Box / Apparition / It's Tragic Slowly Fading Fast / Overdue |
Melodic Punk | Lagwagon "Resolve" |
The Feel Good Record Of The Year (2008) | |
彼らのとって5thと7thは今後も大きな壁として乗り越えられないものとして今後も存在し続けてしまうのではないかという予感を少なからず感じさせてしまう9th。今作はここ3作とは異なり彼ららしい哀愁度合いは若干なりをひそめて昔のような力強さが戻ってきた曲や、今までにはなかったような穏やかなゆるい雰囲気を持った曲など過去最大にバラエティに富んだ作品である。テンポ感や空気感は前作よりも遅くなった感は否めないが、ひとつの作品としての統一性を持たせていることは彼らのセンスやキャリアの賜物であろう。また今作ではベースがいつも以上に暴れており、それがメロディだけではない力強さへと繋がっている。しかし全体を通して見ると消化不良の感が避けて通れない。それぞれの曲自体は悪くないが勢いがなく、個人的には曲ごとの優劣の差が大きいと感じてしまう。年月を重ねた結果なのか正直音の中に感じるエネルギーが少なくなっている気がする。これが只の危惧であることを次作が証明してくれると願いたい。全曲。 | |
☆☆☆★ | Biggest Lie / I Want To Be Wrong / Under The Garden The Feel Good Record Of The Year / The Dregs Of Sobriety |
Melodic Punk | Pulley "Together Again For The First Time" |
Justified Black Eye / Sidewalk (2017) | |
2012年にボーカルのTonyが逝去するまで最前線で活躍していた彼らが、Tonyの逝去後にFATのOriginal Demo Seriesの第4弾として発売されたシングル。本作は4thと5thに収録されている曲のデモバージョンを収めた作品であるが、既にこのデモ段階で楽曲が持つ良さやインパクトなどは感じ取ることができるだろう。アルバム収録バージョンと比べるとまだ音質の部分でメロディが全面に出ている分ギターが奥まっているようにも感じられたり、そのメロディも丁寧に歌われているが若干ラフな部分は否めない。しかしそれでもTonyの歌声や楽曲の持つ素晴らしさは変わりなく、普遍的な魅力の原石が詰まっていると言えるだろう。全2曲。 | |
☆☆☆★ | Justified Black Eye / Sidewalk |
Melodic Punk | ------------------------------ |
Rarities Vol.1 : The Covers (2017) | |
2012年にTonyが急逝したことによりバンド自体は解散となってしまったが、NUFANの活動をアーカイブ化するシリーズの第1弾としてコンパイルされた96年から05年の間にレコーディングされたカバー集。8曲目は6thに、3曲目は4thの隠しトラックとして収録されているが、殆どはコンピなどへの収録であり作品として1枚にまとめる価値は非常に高い。作品の前半は原曲の雰囲気をそのまま残していることもあるが、まだ荒々しい80sのMelodic Punkの香りが全開でありながらも、後半に進むにつれて彼らの代名詞とも言えるような哀愁感が全開になっていて、レコーディング時がバンドのサウンドが変わってきた時期と一致するため、単に一つにまとめたというだけでなくバンドの変遷がそのままパッケージされた作品と言える。全13曲。 | |
☆☆☆★★ | ------------------------------ |
Melodic Punk | ------------------------------ |