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After The Fall

First Evolve, Then Destroy! (2003)
One Oh Five Recordsというマイナーなレーベルから発売された1stEP。正直あまりにも情報が少なすぎて確かではないが、2003年にリリース、翌年に4曲ボーナストラックを追加して再発という流れであろう。ジャケットもボール紙を自分たちで切っているためか曲がっているという完全DIYであり、再発盤でもトラックリストが変わってないなどのツッコミどころ満載ではある。初音源であるだけにメロディは正直あまり良くはなく、どちらかと言うとHardcoreを少しメロディックに寄せて緩急を組み合わせたサウンドである。またメロディはあまり印象に残るようなものではなく、そして1曲1曲が異様に長いため、メロディよりもリフやアンサンブル主体の作品と言ってもいいかもしれない。アプローチとしては面白いが、その分若干メロディが犠牲になっている点は否めずに残念である。全7曲。
☆☆☆ Intro / First Evolve, Thn Destroy! / Innocent Victims /
Melodic Hardcore Marathon "Songs To The Turn Tide"

Everything (2006)
待望の1stAlbum。前作のEPと比べるとソリッドに砥ぎ澄まされており、曲の長さ自体も全体的に少し短くなっている。相変わらずメタリックなリフなどを多用しているが、それがテクニカルに聞こえすぎないという奇跡的なバランスを保った作品である。基本的にはMelodic Hardcoreではあるが、東海岸のバンドであるためにHardcoreの要素が今作では強めである。しかしPost Hardcoreの要素を取り入れたアレンジなど直線的ではないひねくれたというか一味も二味もある様な楽曲が並んでいる。メロディも単に勢いだけではなく、しっかりとした良いものがある点もこのバンドの特徴であろう。また今作ではIntermissionが曲間に挟まれている事も特徴であろう。これが挟まれている事により、一つ一つの楽曲と楽曲が繋がり連動してくるため、ある意味組曲を聴いている様な印象すら受ける。アルバムというフォーマットを大いに活用した作品であり、楽曲単体で聞くだけでなく1枚を通して聞いてもらいたい。初期衝動では終わらない、既にこの時点で完成された世界観とエネルギーを存分に味わえる作品である。なお、日本盤はジャケットの色合いだけ変わっている。全13曲。
☆☆☆☆ Fallage / Four More Year / Killing / Overage / Make Music Not War
Stop Screaming / Brokeage / Human Progress
Melodic Hardcore Dr. Hourai "Post Apocalyptic Nightmare Volume 1: Vibrations in Hyperspace"

Fort Orange (2009)
全体的に曲の長さがかなり短くなってHardcoreの要素が強くなり始め、そちらの方向へとbuilt-upされた印象を受ける2nd。それぞれの曲の完成度は飛躍的に向上しており、前作よりもスピードは増しているが個人的には好きだったドタバタ感は見事なまでになくなっている。しかしScreamが多く入る事により、若干メロディの印象が薄くなったと個人的には感じてしまう。元々アレンジには定評がある彼らであり、このテンポでこの展開は非常にテクニカルで素晴らしいが、どうしてもリフ中心でメロディが若干置き去りにされた感が否めないように思う。もちろん1曲目などの様にそうでもない曲もあるのだが、1枚の作品として非常にまとまっている分、どうしてもそのように感じてしまう。しかし決してメロディが悪い訳ではない。MelodicHardcoreという括りの中では、まさにそれを体現する1枚として言っても良い作品である。全体的に前作よりも強固に一つの方向にまとめられた中で、どことなく彼ら独特のメロディがアレンジに比べてパワーが弱いと感じてしまうのは、聞く側のわがままであろうか。単なる直線的ではなくある意味ひねくれたプログレッシブ的な要素も兼ね備えたバンドだけに、メロディにもパワーがより出てくれば完全に鬼に金棒である。全13曲。
☆☆☆☆ Fort Orange / Thomas Phibrick / Decapotate / Routine
Poor Excuse / Escape / Potroon Island / 1994
Melodic Hardcore Bigwig "Reclamation"

Collar City (2010)
Bells OnよりCD化されたシングル。前作で片鱗を見せたプログレッシブさをより全面的に取り入れた、ある意味意欲的な作品。これにはメンバーチェンジによることも大きいのかもしれないが、良い意味で無駄な部分がそぎ落とされている。メロディはメロディックというよりもHCにシフトした感もあり、力強さが比較にならないほど増している。そういった意味では個人的に前作で若干残念だった部分が改善されている。しかしまた新しい要素を取り入れながらも、メロディや雰囲気はどことなくGood Riddanceなどのような初期Melodic HCのような懐かしささえ感じさせてくれる。音楽性はどんどん変化していき、作品を重ねるごとにどんどんハードな方向へ進んでいっている彼らであるが、それを様々な要素をブレンドしていくことで違和感なく独特の世界観へと昇華していっている。メタリックな方向へと進みがちな00's後半の近代メロディックとは一線を画しており、むしろHCであると言えるだろう。ほとばしるほどの圧倒的な音と、そこに込められたエネルギーの塊に魅了される作品である。全3曲。
☆☆☆☆ Collar City / Coaster / Comatose
Melodic Hardcore ------------------------------

Unkind (2013)
本国ではPaper&Plasticに移籍して、日本国内ではおなじみのBellsOnからの4th。今作ではメロディック的な要素が若干薄まり、今までの方向性は維持しながらもHardcoreの要素が前面に出ている作品に仕上がっている。しかし彼らのメロディがおざなりになっている訳ではなく、例えば8曲目は今までの彼らの持ち味を存分に発揮したメロディが映える曲であり、12曲目などは疾走しつつも重く、しかしどことなくメロディはポップである。このようなHardcore的な要素をもちながらもメロディはしっかりとしているというような一見相反する要素が様々な所に散見し、それをうまくまとめあげていることが彼らの魅力であろう。今作では最近の作品に見られていたメタリックな要素は薄まっており、シンプルに疾走していったり緩急をうまく生かしている曲が多く、その点も力強いメロディを生かす方向へとつながっている。作品ごとに微妙に全体的な雰囲気が異なる印象を受けるかもしれないが、作品を重ねるごとに余計なものをそぎ落とし、バンドとして一つの芯のような物を貫き通すという決意表明をしているかのように感じる。そういった姿勢なども含めて全てが本当の意味でのメロディックハードコアを体現している作品、バンドである。それぞれの曲の爆発力も大きいが、作品全体として何回も繰り返し聞きなおしたくなる作品である。全12曲。
☆☆☆☆★ Unkind / Disunion / Wrong / Attention Dependent / Writer's Block
Back And Forth / Double Negative / Cathedral / Decade
Melodic Hardcore This Is A Standoff "Be Excited"