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Frenzal Rhomb

Dick Sandwich (1994)
結成後間もなく制作された、彼らの初の正式音源となる1st EP。音質があまり良く、少しこもった音でギターの抜けが殆どないこともあるがバキバキのベースがサウンドの中核を担っており、低音を支えつつも一気に高音域まで移動したり、前のめりでありながらもバキバキのスラップがいたるところに織り込まれているところなどは彼らに作り上げられないサウンドであろう。またそれだけではなく3曲目ではワウなどを使ってスペイシーな広がりを感じさせるギターが入っていたりなど、既に速さと緩さを変則的に混ぜ込み、一筋縄でいかない彼ら独特のファンキーなサウンドは確立をされている。この変則的で特徴的なのはリズムのウラを強調するアレンジによるものであろう。このウラにシンコペーションやスラップなどがかっちりと決まることによって前のめりな勢い重視だけではない独特の疾走感に繋がっている。またメロディもキャッチーでありながらも一筋縄でいかない独特なひねくれさがあり、音質のことは抜きにして聞いておくべき作品である。全7曲。
☆☆☆☆☆★★★ Richer Than You! / Roger / You're O.K. / Chemotherapy
Melodic Punk Actionmen "Upa A Baba"
We Lived Like Kings: We Did Anything We Wanted (2016)
結成25周年を迎えた彼らが発売したBest。今まで編集盤などはリリースしてきたがBestとしては初となる今作では今までの全ての作品から厳選された楽曲と新曲がリマスターされて収録されている。その長いキャリアから時代や作品ごとに微妙に質感は異なっているように感じていたが、こうしてリリース年代に関係なく並べられ、まとまってみると初期の曲も最新作に収録されている曲も、全く違和感なく聞こえてくる。こうした一貫性が彼らの魅力の一つであることを再認識させてくれる1枚になっている。初期の楽曲もリマスターされたことにより音がクリアに聞こえるため、オリジナル盤を持っていても聞く価値はあるだろう。最後に収録されている新曲は彼ららしい脱力系の楽曲であるが、コレも彼らの魅力であり所々に入っているMCやSEなど含めて一筋縄ではいかない彼らの魅力が存分に詰め込まれている。全35曲。
☆☆☆☆ ------------------------------
Melodic Punk Strung Out "Top Contenders : The Best Of Strung Out"
Hi-Vis High Tea (2017)
ベスト盤を挟みながらも、コンスタントに活動を続けるオーストラリアを代表するバンドの1つである彼らの9th。作品を重ねるごとに作品毎に若干の質感の違いはあるものの、全体的には何も変わることのない首尾一貫とした姿勢が今作でも貫かれている。楽曲全体を底から支えるような終始うねり続けているベースラインとそれをも許容するドラムのリズムの多様さが彼らの最大の持ち味であり、それがあるからこそ独特のメロディが最大限に生きていてそれは今作でも同じである。前作ではそのうねるようなベースが若干控えめでどちらかと言えばメロディを重視した結果、少し彼ららしさが薄れた気もしたが今作ではそれが見事に復活している。しかし決して過去と同じではなく11曲目のようにミドルテンポの曲があったり、お得意のHardcoreとMelodicを混ぜたポップなメロディが生きる曲、疾走感重視の曲であってもひねくれたアレンジとメロディは健在であり、派手さはないかもしれないがFrenzal Rhombという強固な土台の上で様々な楽曲が作品全体に彩りをそれているのが今作である。曲数は多いものの1曲1曲がコンパクトにまとまっているため、サラッと聞けつつも聞き終わったあとには満足感とともにほんの少しの物足りなさから何度でも繰り返し聴きたくなる作品である。全20曲。
☆☆☆☆ Classic Pervert / Ray Ahn Is My Spirit Animal / Cunt Act
Sneeze Guard / I’m Shelving Stacks (As I’m Stacking Shelves)
Storage Unit Pill Press / School Reunion / Bunbury / Pigworm
Don't Cast Aspergers On Me / Messed Up
Everyone I Know Has Mental Problems / Organ Donor
Melodic Punk Greedy Guts "From Mars... To The Beach"