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Strung Out

Live In A Dive (2003)
MCまで彼らのライブを余すことなく詰め込んだライブアルバム。このシリーズにおいては音質の心配は全くする必要ないが、今作ではライブにおけるテンションの高さと共に演奏の安定度にはやはりすさまじいものがある。原曲よりも速くなっているが、それを感じさせないほどにかっちりとしている。しかしそこからは溢れんばかりの熱量を感じることができ、このシリーズの中での出来は一番であると個人的には感じている。選曲も初期から現在まで満遍なく選曲されており、初期の曲も作品を重ねるごとに重さを増してきている中期以降の曲も全く違和感なく楽しめる。サウンドに若干の変化は確かにあるように感じるが、彼らの土台になるものは全く変わっていないんだと実感できる。アレンジは原曲とは異なる部分も比較的多いがそれがすさまじく良い。特にそれは曲の導入のイントロであることが多いが、盛り上げるツボを押さえたアレンジはやはり流石だと思わせてくれる。曲数も多く、十分満足できる作品である。なおPunk Goes Metalに収録されたOzzy Osbourneのカバーも演奏している。全21曲。
☆☆☆☆ ------------------------------
Melodic Punk No Use For A Name "Live In A Dive"
Top Contenders : The Best Of Strung Out (2011)
結成から早20年以上でありながらも、決して立ち止まることのない彼らのキャリアの中で初のベスト。ほぼ全ての作品からまんべんなく収録されているため、入門編としても最適であろう。また1曲目こそ2ndからという初期の楽曲になっているが、2曲目は4thからと年代に関係なく、また新曲もはさみながら1枚の流れを重視して並べられているために、純粋に彼らの曲を楽しむ事が出来る。ここ2作はマイナー調の重苦しい雰囲気をも持った楽曲が増えてきているが、こうやって改めて聞くと、結局今も昔も首尾一貫しており、彼らの本質は全く変わっていない事が良く分かる。また今作はRyan Greenによってリマスターされており、オリジナル作品ではばらつきがあった音質がどの年代の曲もフラットになっており、純粋に同じ土俵で楽しむ事が出来る。また単に過去の作品を集めただけでなく、新曲も収録されており、2011年現在での彼らの姿もきちんと示されている。今回のリマスターで全体的に若干低音が弱く、初期の作品のように軽く聞こえる部分があることに起因しているかもしれないが、初期の乾いた疾走感や彼ら独特のポップさが久々に出てきた様に感じる。ほぼ定番曲は網羅されており、インナーには年表も入っているために、一家に一枚は欲しい作品である。全26曲。
☆☆☆☆ City Lights / Saturday Night / Here We Are
Melodic Punk No Use For A Name "All The Best Songs"
Transmission. Alpha. Delta. (2015)
アナウンスされてから何度も発売が延期となり、結果的には前作から7年という過去にないほどに感覚が空いた末にリリースされた8th。この間にもライブは頻繁に行っており、またベストアルバムが間に挟んでいたりなどそこまで期間が空いた印象はなかったが、それでも待望の新作と言えるだろう。ここ最近のメタリックなフレーズを連発しているサウンドからは一線を画して、若干初期3作の頃を彷彿とさせつような、メタリックな要素はもちろん残しつつも重すぎることなく、ここ数作のダークなマイナー調の印象を和らげるかのような方向性を今作では示していると言えよう。特に最初の3曲程は前々作辺りからの流れを引き継いではいるが、中盤から後半にかけては少しポップ的なメロディなども増えてきている。毎回作品としてブレがない彼らであり、今作もその例に漏れていない楽曲単位で考えると若干物足りなさを感じない訳ではない。しかしそれはこの作品の価値を下げるものではなく優劣付け難いという相対的な問題であり、さらに言えばこのこと自体もこの時代にアルバムというパッケージでリリースする、そして作品単位ではなく楽曲単位で音楽に接することが増えている風潮に対してのアンチテーゼであるかのように個人的には感じる。派手さはないものの安定の、そして貫禄の出来栄えであり万人にお勧めできる1枚である。全12曲。
☆☆☆☆★ Rats In The Walls / Rebellion Of The Snakes
The Animals And The Machines / Modern Drugs / Black Maps
Nowheresville / Go It Alone / No Spologies
Melodic Punk Millencolin "True Brew"
Black Out The Sky (2018)
近年Face To FaceRise Againstなどがリリースし、少しブームの兆しがあるアコースティックによるセルフカバー集ではあるが、そういった動きとは対極に位置していそうな彼らがリリースしたAcoustic EP。しかし他のバンドと異なるのは既発曲のリアレンジも収録されているが、殆どの曲が新曲である点であろう。リアレンジもアコギだけでなく様々な楽器を重ね、リズムがボサノバ的な要素を入れてハネている部分もあったり、カントリー要素やフォーキーな雰囲気を出していると思えば、ここ数作の流れを受け継いだダーク感漂う楽曲など、彼ららしくないと言えばそれまでではあるが歌がストレートに響いてくるため、Jasonの存在の大きさを再確認できる作品である。また、25年間ドラムを担当していたJordanの脱退後初の作品ということもあり、バンドとして新しいフェーズに移行したという決意表明的な作品とも言えるだろう。全8曲。
☆☆☆★★ The Architect / Black Out the Sky / Town of Corazon
Duke of Sorrow / Matchbook
Acoustic Rise Against "The Ghost Note Symphonies, Vol. 1"
Songs Of Armor And Devotion (2019)
これまでのアルバム全作品に参加してきたドラムのJordanが脱退して初めて制作された9th。ここ数作のダークかつメタリックな雰囲気は多少残して入るものの、初期のようなカリフォルニア特有のカラッとした空気感そのままに疾走していく楽曲も今作では多数見られ、これまでの彼らを包括したかのような作品になっている。そのように感じさせる要因としてはマイナーコード主体で楽曲自体には特に特にスローテンポになるところではダークさが全面に出ているものの、メロディが比較的明るさを帯びているところにあるだろう。またしかしそういった初期のような爽快感だけでなく王道のメタル臭さを漂わせたイントロから一気に加速する5曲目などはメタリックさとメロディアスさが同居しており、彼らにしか鳴らすことのできない楽曲といえ、それ以外にもそういった楽曲が非常に多い。ドラムが変わった影響もJordanがこれまで築き上げてきたStrung Out独特のノリは当然ながら失われているが、同じく手数も多くあまり気にならないだろう。サウンド的には集大成的な本作をもって次作がどのような作品になるのか非常に楽しみである。全13曲。
☆☆☆★★★ Rebels and Saints / Ulysses / Under the Western Sky
Monuments / Demons / Diamonds and Gold / Strange Notes
Melodic Punk Sick Of Change "In Our Time Of Need"