thewarpedradio

Handheld

Homebrew (1999)
90sの影響を色濃く残したカナダ出身のHandheldの1st EP。自主制作であるということもあり全体的に音がこもり気味でありガチャガチャしている部分はあるが、この部分が速さの割には軽いスタスタ感を倍増させている。また2曲目では合間にSkaを入れ込んで、その後また一気に再加速するなど手法としては新しいものは皆無でありB級感満載であることは否定できないが、その中でもメロディは非常にキャッチーであり、のっぺりとした部分もあるが少しがなりたてるようなボーカルは高速メロディックの中では珍しい要素であり、アレンジ上の速さ以上の勢いをもたらしている。個性や完成度ではもちろん1stであるがゆえの若さはあるが、ラスト8曲目に収録されているミドルテンポの楽曲や6曲目が物語るようにメロディ自体は非常に良いため、それを活かすアレンジやサウンドになれば爆発する可能性を感じることができるだろう。全8曲。
☆☆☆★ Once / If We End Up Last / Defeat / Stand Up / Life's Refrain
Fast Melodic Punk Soled Out "Yet To Be Titled"
Still Tickin' (2000)
前作のEPに続く待望の1st。基本路線は変わっておらず、少し音圧は薄いながらも息つく暇もなく一気に駆け抜けていく疾走感と併せてガチャガチャ感は健在である。しかし今作ではメロディがより良くなったと言うよりもBeerBongの1stのように言葉をかなり詰め込みかなり早口に歌い回すように変化しており、キャッチーさはそのままでありながらも彼ら独特のスタンスが少しずつ現れ出している。またそれに伴いコーラスもかなり入っているがやはり早口であるため音のハーモニーというよりは補完してメロディを分厚くしているような印象を受ける。短いながらも彼ら独特のキャッチーなメロディとそれを最大限活かしたアレンジとなっている6曲目は名曲であり、それ以外の曲も北欧からの影響が少し色濃くなるなど前作から大きく成長していると言えるだろう。アレンジも前作同様緩急をうまく取り入れているが、緩急だけでなく音の足し引きやリズム自体を変えていたり、10曲目にはキーボードを入れ込むなど適度に変化球的要素を入れ込んでおり、全体的に爆走しつつもそれだけに留まらない、前作の発展形と言える作品である。全13曲。
☆☆☆★★ Get A Grip / Deal With It Then / Alone / Ode To Europe
This Could Be You / Life's Refrain / AFW 4 Life
Fast Melodic Punk Reset "No Remits"
All We Could Afford (2005)
これまで局地的な人気を博していた彼らの知名度を結果的に一気に上げたもののラスト作となってしまった3rdアルバムの先行シングル。それまでの速さを全面に押し出して軽さと荒々しさを共存させていたサウンドから一転し、今作では重さが加わったことによりSkate PunkからMelodic Hardcoreへと大きく変換を遂げている。この変化が完全に功を奏しており、それまでの少しのっぺりとしたようなメロディが重厚なリズム隊と適度に重さとテクニカルさを打ち出したギターとの絡みの中でその魅力が最大限に発揮されている。特に1曲目はその傾向が顕著であり、彼らの新たな姿や魅力が詰め込まれている。また2曲目はそれよりは少しポップなメロディと縦ノリ感を出し、3曲目はこれまでの路線にギャングボーカルで歌い上げることにより荒々しさも加わっている。自主制作のCDRしかなく、日本盤ではボートラで入って入るものの流通しなかったことが残念である作品である。全3曲。
☆☆☆★★ Imbalanced / No Clue / World Today
Melodic Hardcore ------------------------------
Handheld (2008)
先行シングルでそれまでのSkate PunkからMelodic Hardcoreへと変化したことにより、一気に注目され日本盤も発売された彼らの結果的にラスト作になってしまった3rd。随所にこれまでなかった重さを伴ったリズム隊やリフが組み込まれていることによりMelodic Hardcoreの要素がだいぶ強くなってはいるが本質の部分としては、そういった重さがありつつもAndyの鼻にかかったような歌いまわしによる少し癖のあるメロディは従来のままであり、変化したのはリフとコーラスによるものが大きいだろう。重さを伴うリフが主体になっている一方で、4ピースでギターも基本的には1本で重ねていない分ベースの入り込む要素が大きいが、8曲目などではリフの裏を高音域でアクセントを入れていたり、7曲目では少しメタル的なソロが入り込んでいるが曲全体としては今まで通り軽さも目立つ。従来までのSkate Punkを中心としているが、そこに曲によってはMelodic Hardcore要素を追加しているため、軽さと速さ一辺倒に少し近かった楽曲に幅が出たことが今作の最大の特徴であろう。そしてそれが完成度を一気に押し上げる結果となったため、最後の作品になってしまったのが非常に惜しまれる作品である。全16曲。
☆☆☆★★★ Sharp Point / Not So Evil / Countless Hours / Push The Trend
Take Two / Unscathed / Never Breathe / Incarcerated
Melodic Hardcore In 2 Months "Speed Of Sound"