thewarpedradio

Hit The Switch

Domestic Tranquility & Social Justice (2005)
2枚のDemoとEPを経て自主制作で発売され、一気に注目を浴びた彼らの1st。速さと重さが共存しつつも、それだけに留まらずに少しがなり意味ではあるものの非常にキャッチーなメロディとそれに絶妙に混ざり合うコーラス、そしてタイトにストップアンドゴーを織り交ぜて見事なまでにちょっとしたブレイクや音の足し引きで緩急を自在に操るそのサウンドは、ギターだけでなくリズム隊が非常に分厚い音でありオリジナリティは少ないものの、それぞれのバランスが黄金律とも言えるくらいの完成度を誇っている。特に派手目のギターの裏でさり気なく鳴り続けているベースやドラムは男臭いメロディを引き立てていると言えるだろう。また前半は勢い重視ながらも中盤から後半にかけてはメジャーコード主体でポップで明るい楽曲もあったり、ミドルテンポから急加速するような楽曲があったりと様々なものをたくさん取り込んでいつつも全てを消化しきっているため、どこを切り取っても素晴らしい作品になっている。翌年には少しだけジャケットを変更してNitroから再発されていることも、この作品の完成度を保証しているとも言えるだろう。全12曲。
☆☆☆☆★★ The March Of Dissent / Heavenly Deception / Shift
Anarcho-Syndicalist / Imperial Horizon / The Wayside
Mind Rape Culture / Aphasia
Melodic Hardcore Handheld "Handheld"
Observing Infinities (2009)
前作がNitroから再発され、バンドとしても脂が乗った状態で制作された2nd。基本的に大枠としては前作の延長線上にあり、速さとテクニカルさが共存しつつも緻密に構築されたアレンジが非常に印象的な作品に仕上がっている。しかし前作とは明らかに変化しており、8曲目のように完全に前作の延長線上で力強くもキャッチーなメロディを主体に軽やかかつシンプルに駆け抜ける楽曲も残っているが、それはどちらかと言えば少数派である。プログレッシブ要素が強く展開はそこまで複雑ではないものの緩急の緩が効き過ぎていたり、その部分でテクニカルなリフが全面に出ていることにより前作と比較すると若干の野暮ったさが漂っていたり、メロディもシャウトを比較的今作では多用しており、メロディアスさは少し減退して抜けてこずに奥まった印象を受ける。11曲目のイントロはどことなく琴などの日本の音階を思わせるような部分があったりなど音楽的なクオリティは格段に向上しているが、彼らの良さが活かしきれていない作品である。全12曲。
☆☆☆★ Me And My Friend Rad / Tidal Wave
Coercion Through Publich Consumption / Ample Bright
Last Light / Lone Child / The Everfading Afterglow
Melodic Hardcore Low Value "Language Of Stolen Music"
Entropic (2018)
前作リリース後、完全に沈黙していた彼らが突如活動を再開して約9年ぶりに発売した3rd。作品の方向性的には過去2作の間をいくかのような、テクニカルな面はそのままでありながらも速さや勢いが復活したことと併せて展開も複雑になり過ぎず、全体的にはシンプルにメロディの良さを全面に押し出す楽曲が揃っている。前作ではこのメロディがアレンジに負けてしまい、メロディ自体は変わっていないものの質感が大きく変化をしてしまった結果どこかしっくりと来ない楽曲が並んでいたが、今作ではそれが完全に払拭されていることが最大の特徴であり、魅力である。特に力強くも粘り気がありエモーショナルさも感じさせるメロディからは年月を重ねたことによって、少し枯れた哀愁も漂っている。1stほどのインパクトはないが、初期の彼らの持ち味とキャリアを重ねたことによる円熟味が見事に混ざりあった名作である。全12曲。
☆☆☆☆ Perigee / Down and Out / The Walrus And The Fisherman
Keep The Fire / North Star / Prog Reactors / Apogee
Melodic Hardcore Symphony Of Distraction "Horse"