thewarpedradio

Lext

Shadows (2010)
初の正式音源となる1st EP。まだこの当時は3ピースではあるが、この最少人数であるとは思えない、そしてDemoを除けば最初の音源であるとは思えないほどの完成度を誇っている。そしてこの作品にはほほえましいほどの多様性と希望が詰まっているように感じる。1曲目はBad Religionをもっと現代風にしたようなMelodic Hardcore、2,3曲目はどこか00's初頭の日本のバンドの影響を感じさせながらも根底から感じる90'sのMelodic Punk。そして4曲目はもう完全にCruzサウンド。一見サウンド的にはバラバラであるのに、メロディが熱く、それでいてとてもエモーショナルでもある。純粋なメロディの良さとそれを生かすためのシンプルかつ勢いのあるアレンジは曲の系統が若干異なっていても全く作品として違和感がなく、どの曲も素晴らしい。こういった今まで聞いて影響を受けただろうな、っていうサウンドを一つではなくいくつも自分たちのものとして完成させているのが純粋に素晴らしい。全4曲。
☆☆☆★★ The Darkness Is Covering My Shadows
Free Your Heart Never Stop / Leave From This Town
She Doesn't Know
Fast Melodic Punk ------------------------------

Not A Movie (2014)
間髪いれずにリリースされた4th EP。イントロのベースのリフだけで個人的にはツボではあるが、それ以上に素晴らしいのは流行に流されずに地に足をつけて自分たちの音を追及していこうとする姿勢だろう。オクターブ奏法を中心としたリフでが中心で近年流行のメタリックなフレーズは皆無であり派手さはないが、マイナーコードを多用した暗めの楽曲と低めの声質で硬派にストイックなまでに自分たちを表現しているサウンドは、作品を重ねるごとにどんどんその純度を上げているように感じられる。重くも軽やかに駆け抜けていく疾走感に、哀愁漂うメロディ。そしてそれを後ろから補完するコーラスといい、全てが完璧な楽曲であり正直1曲だけでは物足りない。しかし次のアルバムに対して期待感しか抱かせない作品である。全1曲。
☆☆☆☆ Not A Movie
Fast Melodic Punk ------------------------------

Poolside (2014)
結成から約10年での待望の1st。先行シングルとなった前作だけでなく1st EPの1曲目も再録で収録されているなど今までの集大成とも言える仕上がりとなっている。そして良い意味で2014年らしさを一切感じさせることなく、適度なメタリック感を出しながらも基本は重さをあまり感じさせずに疾走感溢れる楽曲をベースに、適度な軽さと哀愁と力強さ全開のメロディを前面に押し出していくという基本かつ王道のMelodic Punkがこの作品には詰め込まれている。作品全体のどこを切り取っても90sのあの頃のサウンドが思う満載である。また単に懐かしさが詰まっているだけではなく、一つ一つの言葉を大切にして力強くも丁寧に歌い上げているボーカルやメロディは良い意味で日本のバンドにしか造り上げられない空気感を持っている。そして最後まで一気に聞かせつだけの勢いがありつつも、曲によってはリズム隊とボーカルだけと言うように緩急を絶妙なバランスで入れていたり、間違いなくシンガロング必至なコーラスやメロディが満載である。理屈抜きに90sを完全に現在の解釈で作り直した現在進行形のMelidic Punkが思う存分堪能できる名盤である。全10曲。
☆☆☆☆★ Feel So Good / Time For Us To Leave / Stay With Me
Free Your Heart / Sunrise Song / Only Moon Lights Knows
The Darkness Is Covering My Shadows / Not A Movie
Fast Melodic Punk Omaha "Touch 'em all, Joe"

End Of The Summer (2016)
レコーディング直前のメンバー脱退を乗り越えて制作された2nd。前作のアルバムはデモの楽曲を再録して収録していたこともあってそれまでの集大成的な要素が強く、そういった意味では純粋なアルバムとしては初と言ってもいいかもしれず、バンドとしての底力が試される作品にあたるが、そんなことは関係なく今まで通りの姿だけではなく作品を重ねるごとに大きく成長していることを実感できる作品になっている。王道ど真ん中を突き進むようなMelodic Punkを基本に置きながらも、今作ではミドルテンポの楽曲が収録されていたりなど恐らくルーツとしての根っこを重視ししつつも今作ではその幅をバンドの成長に併せて広げてきた印象を受ける。しかし時代に逆行するかのようなメロディを生かすことを前提としたコーラスやシンプルなアレンジにはテクニカルな面は一切なく、テクニックに頼ることなくシンプルなアレンジでメロディを聞かせてなおかつ格好良いと言うのは実は難しいはずであるが、それをサラリとやっているところはMelodic Punkの基本、教科書でありそれを十二分に堪能できる作品である。
☆☆☆☆ I Don't Wanna Be Your Friend / Leave This Night
Another Story Goes / Endless Summer / Please Don't Wait
My Future Is Not Bright
Melodic Punk Gibberish "Between Timid and Timbuktu"

Jakarta Sunrise (2017)
アジアツアーを経て発売されたシングル。シングルだけに曲数が少ないことは消化不良ではあるが、収められているのはどんな時も変わらないLext流のMelodic Punkである2曲である。4人体制に戻ってからは音が分厚くなったこと以上に、バンドとしてのアンサンブルやアレンジの幅が基本を外さない中でも広がっており、そこからはバンドとしての充実感を感じることができる。1曲目は実際のテンポは抑え気味ながらも疾走感あふれつつ、途中でテンポを落として緩急をつけるなどMelodic Punkの美味しさを存分に詰め込んだ1曲に仕上がっている。2曲目はミドルテンポで歌い上げるような彼らにしては大人しめな楽曲となっているが、その分コーラスが多用されておりラストの展開も今までの彼らにありそうでなかったアレンジであり、早くも次作に期待したくなる作品である。全2曲。
☆☆☆★ Heading Nowhere / After The Fireworks
Melodic Punk ------------------------------