thewarpedradio

Much The Same

Quitters Never Win (2003)
Don't Look Downから改名してリリースされた1st。本作の最大の特徴はメロディの良さはもちろんのこと、それ以上にギターが前面に出てベースは埋もれがちになる作品が多い中で、このアルバムはベースの中高音が非常にクリアに鳴っているというところであろう。下手すれば浮いてしまう結果にもなりえないくらいにベースが目立っているが、そうはならない絶妙なバランスでグイグイと引っ張っていっている。決して難しいフレーズを引いている訳ではないが、ギターのメタリックなフレーズに頼ることなく、バンドとしてのアンサンブルを重視しメロディをシンプルに生かすアレンジは非常に分かりやすく、そしてとっつきやすい。それが最初から最後まで一気に駆け抜ける疾走感にも繋がっている。しかしそれも全てはメロディの良さがあるからであり、単に哀愁を漂わせながらもキャッチーであるだけでなく、耳に残るポップさを兼ね備えていながらもとても力強い。コーラスは全体的には多用している訳ではないが、時代を若干反映している部分もあるスクリーム気味のコーラスも聴く側を惹きつけるだけの魅力をもっている。リフではなく純粋にメロディとアンサンブルを武器最後まで駆け抜ける様はまさに90sの影響を色濃く受けており、名盤の一つとして記憶に残る作品であるだろう。全12曲。
☆☆☆☆★ Wish / Conclusion / New Years / Lair / Masquerade
Quitters Never Win / One Of A Kind / Someday Not Soon
Still Falling?
Fast Melodic Punk Propagandhi "Less Talk, More Rock"
Survive (2006)
前作リリース後にWarped Tourなどに参加するなど一躍シーンの最前線に躍り出た彼らが満を持してリリースした2nd。前作で見せた90sからの影響を色濃く残す方向性はそのままに、本作ではどちらかというとよりハードコア的な要素を多く取り入れたよりハードな作品に仕上がっている。それは1曲目から最後まで続いていく。しかし決して勢いだけではなく、7曲目のように疾走感は残しつつもぐっとテンポを抑えた楽曲があったりなどバンドとしての成長や引き出しの多さを感じさせてくれる。そして何よりも前作以上に哀愁や深みが増したGunnerのボーカルが、よりハードで重さを兼ね備えつつもソリッドなギターに絡みつくことによって、唯一無二の存在感を漂わせていると言えるだろう。あくまでもメロディ主体であることは変わりなく、Belvedereとは異なる面においてMelodic Hardcoreという枠組みを確立した金字塔的な作品であり、後世に残した影響は計り知れないだろう。全11曲。
☆☆☆☆★★ The Greatest Betrayal / American Idle / What I Know
For Those Left Behind / Living a Lie / Stitches
Picking Up the Shattered Pieces
Melodic Hardcore Pridebowl "Yesterday's End"
Everything Is Fine (2019)
2007年の突然の解散表明から8年後の2015年に再結成をしたものの、作品のリリースは全くなかった彼らが解散表明と同じように13年ぶりに突然の新曲の発表とともにアナウンスされた3rd。ドラムのJevinが復帰したことにより解散時のメンバーで制作された制作された今作は、これまでの作曲のクレジットはバンド名義であったものがボーカルのGunner以外が本作では作曲しておりその影響なのか、年月を経たことによるものなのかは分からないが、ベクトルは変わっていないものの音の角が取れて前作のような猛進的な勢いや激しさはなくなったはなくなっている。しかしその分メロディが力強くも優しさや穏やかさをも帯びるようになり、元々のキャッチーなメロディの魅力が増している。そして4曲目のように少しミドルテンポでメロディを聞かせきるかのような楽曲と思えば、さりげなく加速を繰り返すような緩急を自在に操っている楽曲が目立つのが今作の特徴であろう。円熟味を出しつつも変わらない哀愁漂う彼らの持ち味は本作でも健在である。全9曲。
☆☆☆☆ Burner / You Used To Have A Garden / Haunted
Man Of Science, Man Of Faith / Homecoming
Strangers In Fiction / Passengers
Melodic Hardcore Curbside "The Sound I Know"