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Belvedere

Becasue No One Stopped Us (1998)
荒削りながらもこの後Melodic Hardcoreの新たなページ、時代を築くことになる彼らの原点にあたる1st。1stよろしく初期衝動に任せてというような雰囲気が満載であり、基本的にはスピード重視でテクニカルな要素はあるものの、それ以上に速さが全面に出ている印象がある。しかしそれでも既にこの頃から速さ以外の要素であるテクニカルさ、そしてメロディの良さが荒削りながらも際立っており、後に多大なる影響を後世に与える要素がすでに点在している。まだ若さを感じる部分もあるもののメロディは速さの中にもキャッチーさがあり、シンプルに爆走していく90sのSkate Punkサウンドと相まって非常に心地よい。曲数が多く、少し後半に行くに連れて息切れ感もあるが速さの中に時折入れ込まれる緩急の付け方はハイセンスであり、抑えておくべき作品である。全15曲。
☆☆☆★★★ The Bottom Line / Danky / High School Heroics / Spark
Subversive / Circus / High Priced
Fast Melodic Punk High Five Drive "... Something Better"
Angels Live In My Town (2000)
前作の1stでは速さは一級品であったもののまだまだシンプルで野暮ったさも残っていたことは否めないが、今作で完全に化けた感がある2nd。これまでの高速度合いはそのままでいつつも今作ではリフやソロ、バスドラの入り具合といいメタリックな要素が存分に詰め込まれていることが最大の特徴であろう。本作も含めて彼らの後世に与えた影響は大きいが、テクニカルな要素を詰め込みつつもプログレ的難解な要素は一切なく、楽曲単体での緩急の付け方や音の足し引きが彼ら非常にうまく、その結果として彼らを語る言葉の中では埋もれがちであるメロディの良さを引き立てている。彼らの本質としてはこういった一つ一つの要素の完成度が非常に高く聞く側を惹きつけてやまない。アレンジやテクニカルな要素はメロディを引き立てる要素の一つでしかないことを思い起こさせてくれるような作品である。全13曲。
☆☆☆☆★ 2nd Column / The People's Song / Difference / Airplane / Mediator
Todd / Not My Problem / Male Pattern Importance
Fast Melodic Punk Rebuke "Wouldworks"
'Twas Hell Said Former Child (2002)
1stの勢いそのままにテクニカルな要素を追加し、彼ら独自のサウンドを作り上げた前作の2ndから早2年。ついにリリースされた3rd。前作で見せた新たな方向性はそのままに前作をより深化させた作品になっている。メタリックなフレーズは満載であるが、そこに緩急が全体的に高速であるがゆえに今まで以上に効果的になっている。またコーラスも今作では今まで以上に追加されており、メロディもこれまでよりも洗練され力強く歌い上げつつも繊細さをも兼ね備えている。展開の豊富さもあるが、サウンドが重さと軽さが同局する独特な金属的な響きを持っており、それが今作をより印象的なものにしており、前作同様今作が後世に与えた影響は決して小さくはないだろう。むしろ前作よりも徹頭徹尾高速で駆け抜けており、Punkが持つ攻撃性や激しさ、勢い、メロディなど全てが詰め込まれた作品である。曲数が10曲のみと少ないことは否めないが、その分様々な展開を1曲の中でも見せてくれるので曲数以上の満足感を感じることができるだろう。全10曲。
☆☆☆☆★ The Only Problem With Wishful Thinking
Excuse Me, Can I Use This Chair?
A Juxtaposition Of Action And Reason
Two Minutes For Looking So Good
It's Hard To Look Cool With Your Head Up Your Ass
She Sells And Sand Sandwiches
And You Thought The Doctor's Probe Hurt
Fast Melodic Punk Of No Avail "Socialies"
Fast Forward Eats The Tape (2004)
前作までの勢いをそのままにしつつもまた新たな姿を提示した4th。相変わらずの終始一貫した高速度合いやテクニカルなリフが満載であるが、大きく変わったのはメロディであろう。それまではアレンジで緩急をつけながらも哀愁漂うメロディが主であったのに対して、今作では歌い上げつつもHardcore的な吐き捨てるかのような勢いにメロディが溢れており、哀愁を感じさせながらも力強く歌い上げているようなメロディへと変化している。しかし楽曲によっては前作までのようなメロディを引き継いでいる部分もあり、過去を踏まえて新たな姿を提示しているとも言えるだろう。しかし今までは楽曲の中で緩急があったが、今作では作品全体で緩急があり好みの問題ではあるがミドルテンポの曲が収録されている結果的には曲数も多くなり、個人的には今までのように終始一貫して高速で統一してほしかったと思わなくはないが、それを抜きにしても名盤であることには変わりない作品である。全15曲。
☆☆☆☆ Subhuman Nature / Closed Doors / Unplugged
Two Minutes For Looking So Good / Elementally Regarded
Brandy Wine / Stain / Popular Inquiries Into Everyday Disasters
Bad Decisions
Melodic Hardcore A Wilhelm Scream "Mute Print"
The Revenge Of The Fifth (2016)
前作リリース後に惜しまれながらも解散したものの、それぞれのメンバーは活動を止めることなく、This Is A Standoffなどを経て復活の狼煙を上げた12年ぶりの5th。本作はGrahamに代わりドラムにCasey Lewisが加入して初の作品となるがテクニカルな要素はそのままでありながらも、前作のようにHardcoreを全面に出している訳ではなく、勢いはありながらも洗練された大人な印象を受ける。表面的な荒々しさがなくなったため、テクニカルなリフや展開からは全て計算尽くされたかのようなMath Rockのような緻密さすら感じさせる。激しさは残っているものの緻密さが故に荒々しくも綺麗にまとまりすぎているため、彼らの魅力であるメロディとテクニカルさが速さの中で織りなす独特の力強さが減退していることが残念である。TIASとこれまでのBelvedereの間をいくような作品であり、聞けば聞くほどに味が出てくるスルメ盤と言えるだろう。全12曲。
☆☆☆★★ Shipwreck / Years / Transmissions / Delicastressin
The Architect / As Above, So Below
Melodic Hardcore High Five Drive "From The Ground Up"