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POTSHOT

Pots And Shots (1997)
メンバーの半分ほどがpre-schoolとの掛け持ちの頃に出された1stAlbum。良い意味でこれこそ本当の初期衝動にあふれた作品であると言えよう。今作ではのちの彼らから考えると無骨なまでにシンプルに、そしてある意味ストレートであり、かつ王道に忠実でありつつもホーンにキャッチーさを生み出している点は初期の作品でありながらも彼ら独特のものを感じることができる作品である。無駄に装飾がない分、彼ら独特のメロディが心地よく響いてくる。キャリアを重ねていくうちに初期パンクに影響を受けたあの特有のPopさはないが、耳に残りやすいという意味においてはこの時点からPopであり、類稀なるメロディセンスを持つバンドだろう。今作では彼らの「ウォーウォー」というあの独特のスタイルはほとんど見られないが、それに頼らなくても素晴らしいバンドであることは今作が証明していると言えるのではないだろうか。またそんなメロディを支える、忙しく動き回るベースラインも素晴らしい。全15曲。
☆☆☆☆★ Someone To Lean On / Radio / Handle / Time / Anytime / Radio
Under The Blue Sky / Mexico / Change
Ska Punk Less Than Jake "Pezcore"
Freedom (1998)
2ndの先行シングル。2ndのリードトラックとなる表題曲とアルバム未収録の2曲の計3曲ではあるが、彼ららしい楽曲が揃っている。表題曲の1曲目は根底にあるポップでキャッチーなメロディが印象的なコーラスと共にカッティングの上を縦横無尽に行き来している。また、2曲目は1stの香りを少し引きずるようなアップテンポの裏で唸っているような流れるベースラインが非常に印象的かつ、お約束のウォーウォーを入れ込んだ彼ららしさ全開の楽曲であり、3曲目はホーンは入りつつもスカの要素はなく、ポップなメロディがホーンと併せてザクザク刻むギターとシンプルながらも安定したリズム隊の上を踊っているかのようである。それぞれの楽曲が様々な要素を取り入れながらも軸はブレずに、POTSHOTらしい、なおかつバラエティに飛んだ作品になっている。全3曲。
☆☆☆★ Freedom / Act You Out / Believe Ourselves
Ska Punk ------------------------------
Rock'n'Roll (1998)
ある意味初期衝動に任せて作り上げられていた前作と比べて洗練され、きれいにまとめられた印象を受ける2ndAlbum。相変わらずベースがボトムをきっちり支えつつぐいぐい引っ張りながらも勢い任せな部分が消えており、今作が今後の彼らの礎を作ったと言える作品である。まだ13曲目のようなハードな曲も収録されており方向性に若干の迷いがあるように感じられるが、王道に忠実ながらも彼ら独特のポップ感やひねりが徐々に表れてきて全体を通して変な気負いもなくサラッと聞けることがこのアルバムの良い所でもあり悪いところでもあるだろう。楽曲自体には緩急やレゲエ的な要素は取り入れられており幅は大いに広がっているが、その一方で全体としてのっぺりとした印象を受けてしまいメロディが前面に出てきていないことは悔やまれる点でもある。特にギターの力強さが若干薄くなったと感じる部分が大きい。しかしメロディの質は文句なしに良く、楽曲ごとには名曲も多いため、この作品も彼らを語る上では避けて通れない。全14曲。
☆☆☆★★★ Freedom / Feel / Go And See My Sweetie Pie / In Mine?
Kiss The Fact / Trashy Talk / Those Days / I Can
Ska Punk Mad Caddies "Just One More"
'til I die (1999)
不動のメンバーにて初めて制作され、そして知名度を一気に押し上げて日本のSka Punkの歴史に残る1枚となった3rd。バンド名を冠したおなじみのイントロで始まる本作は、そのイントロが示しているようにメンバーチェンジを経てメロディアスであるものの比較的シンプルなベースラインとマッチしたポップなメロディが全面に出ている作品である。そして何よりもそれぞれの楽曲の完成度が非常に高い。数多くある彼らの楽曲の中でも屈指の完成度を誇る14曲目、カッティングとディストーションサウンドの、ホーンとメロディ、緩急のバランスに優れた3曲目、そして彼らなりのHardcoreナンバーである6曲目や13曲目などバラエティに富んでいるが、様々な要素を取り入れたどんな楽曲であっても最終的には彼ららしい楽曲に落とし込まれている。また、隠しトラックとして収録されている彼ら現段階において唯一の日本語詩の16曲目も大名曲であり、避けては通れない作品である。全16曲。
☆☆☆☆★ Be alive / Prize of game / My way / Nobody saves
Nothing in hand / It's Real / Are you satisfied?
As you are / HITOTSU
Ska Punk Skad Missile "Lights Of Orient"
Do It Again With POTSHOT (2015)
2015年に期間限定の復活を遂げ、ライブだけでなくその勢いそのままに新作まで出してしまったという緩さ全開の彼ららしいエピソードと共にリリースされた今作は、解散してから時間は経っているもののその間もコンスタントにメインソングライターのRyojiは活動していたこともあり、時間を超えてあの頃の彼らが戻ってきたかのような錯覚を受ける。しかも後期の少しRockテイストが増した頃ではなく、4thの頃のポップさとSka Punkが絶妙なバランスでPOTSHOT節全開の頃を彷彿とさせるような楽曲の数々である。年齢的な部分もあるかもしれないが、若干ポップよりで再録の曲も勢いというよりも貫禄が出て全体的にゆったりとした印象であるのは楽曲自体の完成度は高いにも関わらず惜しい所ではある。しかしお得意のウォーウォーがほとんど入っておらず期間限定と銘打っていながらも、タイトルと併せて実は今後もマイペースながらも活動を続けていくのではないかと邪推してしまうような過去を踏まえつつつも未来をもしっかりと示した現在進行形のバンドが生み出したと言えるような作品である。全6曲。
☆☆☆ Fight Together / Start From Today / I Wanna Be With You
Ska Punk ------------------------------
Pots And Shots 20th Anniversary Edition (2017)
発売20周年を記念して、リマスタリング及びボーナストラックを追加して再発された1st。ボーナストラックとして追加されているものはリリース当時のコンピやシングルに収録されてたDemoバージョンなども収録されており、現在では入手困難な音源も含めれているため資料性としても高いものがあるが、それ以上に本作の価値はリマスタリングされたことによる音質の改善度合いであろう。性急なまでの勢いと疾走感が中心であった今作はポップさが全面に出ている一方で、手数の多い楽器隊がゴチャッとして音が潰れ気味であったことが音質的に残念な部分でもあった。しかし録音時期や音質にバラツキがあるものの各パートがオリジナル盤に対してクリアになっているため、それぞれがどんなアプローチをしていたのかが非常に明確になっている。そして改めて完璧なバランスで聞くとこ、の作品の持つ普遍性を再認識させられるだろう。全27曲。
☆☆☆☆★ ------------------------------
Ska Punk ------------------------------