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The Swellers

Beginning Of The End Again (2005)
Albumを経ての1st EP。特筆すべき点は前作からの飛躍的な急成長度合いであろう。前作では正直楽曲ごとの完成度がバラバラであり、作品全体としても正直出来はそこまでは良くなかった。しかしその野暮ったさを完全に取っ払った、メロディの完成度合いは驚異的である。テンポが速く疾走感に溢れているというだけでなく、今作でのメロディはポップであり普遍的な要素を醸し出している。またそれだけではなく、ポップでありつつも力強さや青臭さを兼ね備えている。アレンジもテクニカルになり過ぎず、純粋なメロディの良さと疾走感を武器にしていつつも3曲目のようにどっしりと腰を据えた曲もあったりなど、緩急をつけているサウンドは王道且つ極上である。この絶妙なバランスはありそうでなかったものであり、この時点で唯一無二のバンドになっていると言えよう。全7曲。
☆☆☆☆★★ Tunnel Vision / The Inside / Run / They All Float Down Here
By A Thread / Over And Out
Fast Melodic Punk Much The Same "Quitters Never Win"
The Swellers (2006)
前作のEPに1stの楽曲を追加して発売された日本独自の編集盤。ジャケットも前作のEPのものをそのまま使っている。冒頭の7曲はEPから、そしてそれ以降は1stの楽曲からは選りすぐりの6曲が収録されている。選りすぐりである故もちろん悪くはないが、どうしても冒頭のEPの曲に比べると見劣りしてしまう部分もあるだろう。しかしこうやって編集盤として一気にまとめて聞くと、若さや稚拙さも感じる部分はあるが楽曲自体の完成度は非常に高く、メロディの良さはこの頃から健在である。EPで急激な成長を見せているが、それはもしかしたら元々のメロディを最大限に生かすアレンジの方だったのかもしれない。全13曲。
☆☆☆☆ Tunnel Vision / The Inside / Run / They All Float Down Here
By A Thread / Over And Out / Sightless / Anything
Fast Melodic Punk ------------------------------
Welcome Back Riders (2009)
3rdの先行シングル。アルバムを象徴するように、前作までの前のめりな疾走感が若干押さえられた楽曲に仕上がっている。特に1曲目は緩急をつけながらもポップに疾走していく音は今までの彼らにはなかったサウンドである。新境地とも言えるこのサウンドは大人しくなったかのような印象を最初は受けるかもしれないが、青臭さと哀愁を兼ね備えた彼らの魅力はそのままである。また2曲目はアルバム未収録であるが、この曲も1曲目以上に絶妙なスピード感を持っている。重すぎずシリアスになりすぎず、かと言って軽い訳ではなく、早くも円熟味を醸し出し始めている彼らの新たな魅力が存分に詰まった作品である。全2曲。
☆☆☆★ Welcome Back Riders / Montreal Screwjob
Melodic Punk ------------------------------
Good For Me (2011)
前作でその変化の兆しを見せていたが今作ではスピードを落としメロディを重視することにより円熟味が増し、勢いに任せるのではなく歌を聞かせる方向へと完全にシフトしたと言える4th。元々高速メロディックの頃からもメロディに定評のあった彼らではあったが、その武器を最大限に活かした変化といえるだろう。Indie RockやCountryのような香りも漂わせた温かみのあるメロディやサウンドプロダクションは今までと一線を画しており、ぐっと胸を掴まれるようなメロディ、一つ一つの言葉を絞り出すかのように丁寧に歌い上げているボーカル、そしてそれを支える力強く骨太なアレンジ。その分1曲辺りの時間は少し長めになっているところもあるが、速さはなくなったとは言えダイナミックで躍動感のあるアレンジは随所に昔の姿を彷彿とさせてくれる。10s以降のMelodic Punkの礎にもなった作品であり、新たな方向性を示したとも言えるだろう。全10曲。
☆☆☆☆★ Runaways / Inside My Head / The Damage / The Best I Ever Had
Better Things / On the Line / Nothing More to Me / Prime Meridian
Melodic Punk Half Hearted Hero "Isn't Real"
The Light Under Closed Doors (2013)
前作の流れを引き継いではいるものの前作のような速さに頼らないメロディックパンクの王道を全方位的に打ち出したサウンドではなく、メロディックパンクの枠を超えた様々な要素をも加えてより経験に裏打ちされた大人なサウンドに変化した5th。これはBillのプロデュースであった前作とは異なり、セルフプロデュースになったことも大きいのかもしれない。サウンドプロダクション的には楽器は少し奥まってギターは少し潰れ気味な感もあるが、一方でメロディやコーラスが全面に出ており、こういった音位の構築の仕方によってメロディの質感は変わっていないもののまた新たな魅力を生み出していると言えるだろう。またどっしりと構えたことによってオルタナティブ感も増し、3曲目などではメロディの中に力強さとともに暖かみすら感じさせる。もはや初期の面影はないが、速さにとらわれないMelodic Punkの良さと幅を凝縮したかのような作品であり、ラスト作になってしまったことは残念でならない。全10曲。
☆☆☆★★★ Should / Big Hearts / Got Social / Great Lakes State
Friends Again (We Can't Be) / Favorite True
Melodic Punk Samiam "Trips"