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Slick Shoes

Slick Shoes EP (1997)
ボーカルのRyanは結成時14歳とアメリカの層の厚さを痛感せざるを得ない彼らの1st EP。他のメンバーも20歳前後とかなり若いが、そんなことは関係なくかなりきっちりとまとまっている作品である。もちろん所々にもたもたしているように感じる部分もあるが、彼らの持ち味が存分に出ている作品ともいえる。Ryanの若干やる気があるようでない様な鼻にかかり、独特の声はこの時点ですでに完成されている。声質が太くなく、若干頼りない印象は否めないが、メタリック要素がほとんどなく疾走感とメロディを武器にかっ飛ばしている今作は、90年代と00年代の過渡期にしか生まれえなかった作品ではないかと思う。派手さはないけれど、いつでもふとした時に聞きたくなるそんな安心感を与えてくれる作品である。ボーカルに癖が比較的強いため好き嫌いは分かれるところではあるかもしれないが、シンプルイズベストを体現しているような作品であるため是非一度は聞いてもらいたい。全4曲。
☆☆☆★★★ Silence / I Guess / Fice O Grind / My So Called Real World
Melodic Punk Starting Back "The Mean Streets Of Goleta"
Rusty (1997)
前作のEPに続いて矢継ぎ早に発売された1st。映画Gooniesのセリフから始まる本作はRyanのけだるさを感じさせるボーカルが格段に進化しており、鼻にかかったかのような歌い上げるボーカルもけだるさの中にも力強さが混在している。全体的にアレンジはメタリック度合いが少なく一気に高速で最後まで駆け抜けるところは前作と同様に今作でも遺憾なく発揮されているが、それ以上にこのRyanのボーカルが短期間で劇的に変化したことにより作品全体に大きな影響を与えている。元々メロディは青臭く爽快でわかりやすいキャッチーなメロディであったが、そこに手数が多めのドラムにメタリックでもHardcore色も強くないがかなりアグレッシブに攻撃的な雰囲気を持ったリフが合わさることによって作品全体としても躍動感にあふれている。若干勢い任せで似通っている楽曲もあるが、彼らを代表する1枚である。全16曲。
☆☆☆☆★ Feeble / Cliche / Regrets / Rusty / Joe's Sick / Father Son Picnic
Fall / Bounce / Tired of You / What Happens Next
Melodic Punk Boardroom Heroes "Boardroom Heroes"
Burn Out (1998)
若干気だるく、やる気のないような鼻にかかったボーカルの声質はそのままであるがメロディや楽曲、アレンジなど全てにおいて大きく成長を遂げた2nd。2枚目であるという余裕もあるのか勢い一辺倒ではなく、どちらかと言うとテンポが若干抑え気味の楽曲が多いながらも、疾走感という点においては変わっていない。楽曲によってはもちろん速い曲も点在しており、後の作品を考えれば過渡期と言えるのかもしれないが、この作品単体で考えてもこの緩急をうまく使い分けたそのバランス感覚が前作では若干弱かった部分であり、作品自体のインパクトは前作に負けるかもしれないが、彼らの作品の中で隠れた名盤と言ってもいいだろう。前作よりもメロディにおいて泣きの要素は強くなり、印象的なイントロのリフで惹きつけつける得意技もそのままでビルドアップされた印象を受ける好盤である。全13曲。
☆☆☆☆ For Better, For Worse / East On Tracks / The Last Round
Foot Me No More / Away With You / Responsible
Call For Ambulance / Clened Fists, Black Eyes
Melodic Punk Valve Drive "Chronicle"
Far From Nowhere (2003)
ギターのメンバーチェンジを経てリリースされた5th。このメンバーチェンジの影響はかなり大きかったようで、ここ2作の流れからは一転して硬派な方向性へと転換している。発売当時の彼らの発言として「二番煎じのバンドに蹴りを入れる」との趣旨のものがあったが、その中には彼らがこれまでに築きあげてきたもの、そして今作に対しての絶大なる自信がそう発言させたのだろう。それが決して誇大ではなく、まさしく彼らの長い歴史の中でも一番の名盤と言えるだけの完成度である。今まではどうしてもRyanの歌い方がやる気のないように聞こえる(それが彼らの魅力でもあったが)部分があったが、今作ではそれが完全に払拭されて力強く最後まで高らかに歌い上げている。しかし以前の良い意味ののっぺりとしたメロディはそのままであり初期の勢いと、経験と共に熟練されてきたサウンドはシンプルでありながらもキャッチーであり、他のバンドの追随を許さないほどに孤高の立ち位置を築いた作品である。久々のツインギターによる作品であり、そしてリフに程良いメタリック度合いが加味されておりそれが疾走感あるアレンジをより加速させている、しかし一直線に最後まで駆け抜けている訳ではなく、10曲目のようにうまい具合に歯止めをかけている面白いリズムを取り入れた曲もあるなど、相変わらずの緩急遣いにより最後まで飽きることなく何度でも聞きたくなる名盤である。全12曲。
☆☆☆☆★★ Darko / Carpenteria / Always There / Now's The Time / Sleep In
Once Again / Simon's Quest / Hope Against Hope
We Were Young / Hello Stupid / Down Hill / Drive To The End
Melodic Punk Daggermouth "Turf Wars"
Hold It Down (2018)
前作リリース後の2008年に活動休止となり、2012年に復活を果たしたもののリリースはそれ以降もなかった彼らが約15年ぶりに発売した待望の復帰1作目となる配信シングル。前作のような重さは抑え気味であり、どちらかと言えば初期のような速さの中に軽さも残っているサウンドが印象的な楽曲である。Ryanの少し鼻にかかっていつつも力強く伸びやかなボーカルはそのままであり、ブランクを一切感じさせずにむしろより良くなっている。しかしそれ以上に印象的であり、楽曲のキーになっていると言えるのは低音を担いつつも中音域で音の厚みを出しているのはオリジナルメンバーであり今作で久々に復帰となったJeremiah Brownのベースであろう。少し手数が多いドラムに時にはルート中心、時にはメロディの裏で変幻自在に動くラインは楽曲全体の疾走感や力強さを生み出している。次作への期待感が非常に高まるシングルである。全1曲。
☆☆☆★★★ Hold It Down
Melodic Punk ------------------------------