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RANCID

Let's Go (1994)
ex-UK SubsのLarsが加入して、4ピースとなって制作された2nd。このバンドの体制の変化はかなり大きく、初期衝動の塊であった1stから一転し、勢いはそのまま残しつつも音の厚さが増しただけでなく、TimとLarsの対称的な声質のボーカルが今までは少し隠れ気味であったメロディのポップさを強調している。この様々な面での相反する要素が絶妙なバランスで構築されたのが本作であり、コーラスが分厚くなっただけでなく、時折Mattがメインを取る楽曲もあったりとバラエティに富んでいる。またGreen DayのBilleと共作した2曲目は先行シングルよりも荒々しさがなくなった分、綺麗にまとまりつつも骨太な印象を受ける。曲数が少し多いながらも、製作期間が非常に短いこともあってほとんどが2分以下で一気に最後まで駆け抜ける作品である。全23曲。
☆☆☆☆★ Nihilism / Radio / Salvation / I am the One / Gave It Away
Ghetto Box / Black & Blue / Name / 7 Years Down
Punk Anti-Flag "Underground Network"
...And Out Come The Wolves (1995)
前作でLarsが加入して4ピースとなった彼らが一気にその知名度を爆発させた、恐らくジャケットも含めてRancid史上一番有名であり、一番売れたアルバムであろう3rd。前作までの勢いや荒々しさは多少なりを潜め、良くも悪くも今までよりもPopさを全面に出しており全曲シンガロングしたくなるような作品である。更にはSkaやレゲエの要素も残っているが、本作ではそれがアクセント程度であり、作品全体としては曲数は多いながらも一気に最後まで聞かせきる力強さを持っている。また、TimとLarsの声質が異なりながらも共にだみ声であり多少好き嫌いは分かれやすいところはなくはないが、本作ではPopで印象的なメロディが並んでいるため、良い意味で万人受けしやすい作品であろう。また今までもブイブイ鳴っていたベースラインが特にこの作品ではもうPunk史上有数のラウドでありながらもメロディックであり、Bassistには必聴の作品と言えるだろう。全19曲。
☆☆☆☆★★ Maxwell Murder / Roots Radicals / Time Bomb / Olympia WA.
Ruby SoHo / Journey to the End of the East Bay / The Way I Feel
Punk NOFX "Punk In Drublic"
RANCID V (2000)
まずは何も語らず、何も考えずに聞け!聞けば分かる!という位Rancid史上最高の作品である彼らの5th。本国では1st Albumと同じようにS/Tとなっておりそれだけでも彼らの自信、満足さが伺える。彼らはアルバム毎に全く違った側面を出してくるが、これ以上のものは出ないだろうという位1曲目からすっ飛ばしている。けっしてテンポ自体が速いという訳ではないが、どのバンドのどんな初期衝動の詰まった作品よりもエネルギッシュであり、80s Hardcore的なニオイを感じさせながらもそれをきちんと消化してそれ以上のものとなっている。インタビューでTimは「5枚目に最もFastな作品を作りたかった。」と言っていたが、それ以上の仕上がりである。メロディも曲間もほとんどなく最初から最後まで聞いていると唾が飛んでくるんじゃないかという位怒りを吐き捨てているようでありながらも、どこか彼ららしさをも感じさせ、いつの間にかシンガロングしてしまうという仕上がりはpunk史上に残る名盤と断言できる作品である。全23曲。
☆☆☆☆★★ Don Giovanni / Disgruntled / It's Quite Alright / Let Me Go
I Am Forever / Poison / Loki / Blackhawk Down / Corruption
Not To Regret / Axiom / Meteor Of War / Dead Bodies
Reconciliation / GGF / Sick Sick World
Punk Strike Anywhere "Change Is A Sound"
Indestructible (2003)
毎回Album毎に違った面を見せてくれるRANCIDの6th Album。これが発売された時は日本先行発売だったにも関わらず当時日本にいなくて苦い経験をしたことをまだ覚えているが、個人的には悪くはないが全体的には綺麗にまとまりすぎているように感じでしまう作品になっている。3rdの"...And Out Come The Wolves"みたいなPopな感じを打ち出そうとしているが、なんか中途半端な印象を受ける。多分それは制作中にTimがBrodyと離婚したことにより、制作が途中でストップしたことにも関係があるだろう。彼ら自身も2枚のAlbumを1枚にした様な感じだ、と言っている。楽曲自体が悪い訳ではなくむしろかなりのクオリティなのだが、前作が良すぎただけに比較してしまうと埋没してしまうのも仕方ないだろう。それでも彼らの特徴の一つであるTimの独特なポップなメロディと、Mattのブンブン唸るベースラインは変わっていないので、持ち味は十分に発揮された作品と言える。ちなみにタイトル曲は元Clashの故Joe Strummerに捧げられている。全20曲。
☆☆☆★★ Indestructible / Fall Back Down / Start Now / Out Of Control
Memphis / Sprit Of '87 / Roadblock / Ivory Coast
Punk Anti-Flag "The Terror State"
Crazy Nottingham (2003)
2003年のEngland Tourのブート盤。ブート盤にしては音もいいし、セットリストも彼らの代表曲をかなり網羅しており彼らのライブを存分に味わえる。ライブでの彼らの楽しみはライブ用のアレンジであろう。特に"Maxwell Murder"ではそもそもあれをライブで聞けること自体が常軌を逸しているとも言えるのに、あれをアレンジしてより長くしてしまうとはそれだけでも一聴の価値はある。全24曲。
☆☆★★ ------------------------------
Punk ------------------------------
... Honor Is All We Know (2014)
メンバー各自のソロ活動やサイドプロジェクトを経て、長いスパンを空けて遂にリリースとなった8th。正直5thまでを一つの完成形とし、その後の作品は個人的には強く惹かれる部分が薄かったが今作ではあの頃の彼らが戻ってきたとまでは言わないが、それに通じる部分があるように思えるほど完成度が高い。作品自体の方向性としては今までの延長線上にあるようなキャリアや年齢などを経て激しさの中にもどこか包み込むような優しさをも感じさせる角の取れた作品ではあるが、前作・前々作との決定的な違いはそこに昔の様な勢いや荒々しさが戻ってきているところであろう。1曲目で「あるべき場所、昔いた場所に戻ろう」と高らかに全員で歌いあげており、それが本作品を象徴していると言える。2ndや3rdのような勢いやソリッド感は残しながらもメロディはいつも通りポップであり、またスカやレゲエの要素も今まで通りながらも良い意味で穏やかにまとまっていないサウンドはこれこそがPunkの歴史の一翼を担ったRANCIDである。また今作ではMattがコーラスだけではなくメインで歌っている曲もあるなど、新たな要素をも盛り込まれている。もちろんTimとLarsの掛け合いや、Mattのメロディアスなベースラインは全編に渡って鳴り続けており、こういった要素全てがRANCIDをRANCIDらしくさせている、更には皆が期待しているRANCIDがこの作品には詰め込まれていると言ってもよいだろう。全18曲。
☆☆☆☆ Back Where Is Belong / Raise Your Fist / Evil's My Friend
Honor Is All We Know / A Power Inside / In The Streets / Face Up
Already Dead / Malfunction / Breakdown
Something To Believe In A World Mad
Punk The Lawrence Arms "The Greatest Story Ever Told"