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Setbacks

Oceans Apart (2017)
2017年以降少しずつ増えてきたインターネットバンドの先駆けとも言って良い、彼らのEPに続く1st。メンバーにはPridebowl、Still Thinking、Hack The Mainframeなどとアメリカ、オーストラリア、イギリス、南アフリカの錚々たる顔ぶれで構成されているが、メタルばりの荘厳な雰囲気を持つイントロから始まる今作はそれぞれのメンバーの持ち味が混ざりあった作品になっている。特に90sから活躍しているAaronが歌い上げるメロディは非常に現代的な香りを全面に出しながらも、少しのっぺりとしているような部分もあり90sの雰囲気を10sに継承していると言えるだろう。しかしそのメロディは決して北欧らしいという訳ではなく、欧州の少し湿り気を帯びた部分を残しながらも非常にアメリカナイズされたカラッとした爽やかさをも残している。そしてそれを補完するギターもテクニカルではあるものの速さと共に重さはあまり感じられずに、手数の多いドラムとシンプルなベースによるリズム隊の上を駆け抜けていきつつもメロディが入るところでは少し引き気味で引き立てているところなどは、各パートが前に出つつもメロディを全面に押し出した10sにおける進化したSkate Punkと言えるだろう。また、MuteBelvedere、プロデューサーでもあるDouble NegativeのPaulなど多彩なゲスト陣も見逃せないポイントである。なお日本盤ではジャケットが変更され、EPが全曲収録されている。全14曲。
☆☆☆☆ Too Much Time / Remember / Blood Thirsty / Don't Bully Me
Victory / No Place Like Hell / Mind Control
Fast Melodic Punk Dearly Divided "So Much for New Beginnings"
Ded. Reckoning. (2019)
圧倒的なまでの完成度を誇った1stから約2年振りにリリースされた、インターナショナルバンドの先駆者の一つである彼らの2nd。前作からはWeiheimerやHack The MainframeのHeathが脱退し、前作でプロデュースを行ったDouble NegativeのPaulが加入して制作された今作はこれまでの路線と同様に少しかすれたAaronによるボーカルが哀愁漂うメロディ全開の作品になっている。また前作以上に速さが増しており、キャッチーさもあるメロディがより一層映えているが、本作の最大の特徴はメロディよりはアレンジの方にあるだろう。メタリックであるとかテクニカル要素があるものの決して強いという訳ではなく、単にギターがかなり全面に出ている印象を受ける。10s以降のテクニカル系Melodic Hardcoreの延長線上にありながらも王道ではなく、むしろそんなギターに負けないだけのメロディの躍動感と力強さとのバランス感が素晴らしく、それぞれのパートが絶妙に主張し合ったバンドらしい1枚である。全15曲。
☆☆☆★★★ We're Not Alone / To Be / Don't Call Me Out / Just Words
New World Order / The Good Times / Ded .Reckoning.
Fast Melodic Punk Boardroom Heroes "Another Year"