thewarpedradio

Pacer

No.1 (2010)
2009年に解散したThe Stealのメンバーを中心に結成された彼らの1st EP。昔の様なHardcoreの要素は少なくなり、よりメロディックになっている。それによって若干ポップになったメロディやそれを引き立てるアレンジが、どちらも耳に残り力強いボーカルにマッチしている。若干ポップになったとはいえ、歌い方はそのままであり、メロディも昔の面影が残っている。しかしそれでもポップに感じられるのは、7曲目のようにアレンジは激しいながらもどこかポップな要素を感じることができる絶妙なバランスによるものであろう。これはDESCENDENTSなどの影響も曲の中から感じられる。他にもLifetimeやLatterman、ALLなど多くのバンドの影響を色濃く受けながらも、それを確実に自分たちの音として昇華している。4曲目の様なスピーディーに駆け抜ける曲も、ミドルテンポでしっかりと聞かせる曲もどちらも完成度は高く、今後に期待できるバンドである。全7曲。
☆☆☆☆ Circle Around A Square / xGU16x / Rediscovering The Telephone
Everything's Fire / Pasternak / The Long Drop
Melodic Punk River Jumpers "Words Chords And Irony"
Making Plans (2012)
EPに続く待望の1st。前作では力強さの中に見え隠れするポップさが印象的であったが、今作でもその路線は同様に激しくもキャッチーなメロディを全面に押し出した楽曲が並んでいる。リリース前後のライブではもっと荒々しさが目立っていた楽曲も、勢いや疾走感は残しつつも作品としては荒々しくも綺麗にまとまっており、また前作では少し隠れていたHardcore的な部分も出てきており、ボーカルに依る部分もあるがKid Dynamiteを彷彿とさせるような激しさとキャッチーさが混在しているのが今作であろう。この吐き捨てるかのようなダミ声で歌い上げるメロディはシンプルながらもキャッチーであり、コーラスは少し弱いものの要所要所でツボを押さえたシンガロングにも近く、そして前作ではミドルテンポの曲もあり、バンドとしての幅を示していた部分もあるが、今作ではアップテンポのスピーディーに駆け抜ける楽曲が殆どになっており、単音リフも上手く組み込みながらメロディだけでなくギターでも歌っているように感じられる。この全てが一体となっているところがバンドとしての成長であり、特徴でもある。全12曲。
☆☆☆☆★ Be A Man / Flags / When It's Over / Making Plans / Sourpuss
Red Shirts / Explainer? I Hardly Know Her.
Melodic Punk Iron Chic "Not Like This"
Mechanical (2014)
1stがLP限定であったことが悔やまれたが、初めてCDでもリリースされたPacerの待望の2nd。前作の流れを受け継ぎつつも、今作では少しどっしりと構えたミドルテンポの楽曲が増えている。しかしそれは勢いや疾走感の減退にはつながらず、メロディを重視して音の足し引きや厚みを調整していることによってまた新たなサウンドへと変化している。それは特に3曲目で顕著であり、ドタバタ疾走していくにも関わらずギターが薄くなりメロディを全面に押し出したりなどありそうであまりないアレンジやミックスになっている。そしてそのメロディもLattermanやNo Idea系のバンドの系譜に位置する暑苦しくもどことなく爽やかにシンガロングも満載であり、そこに若干のUKらしい哀愁も加味されている。全体的にあえてがなりたてるように歌うDaveのボーカルは、以前のThe Stealの良さをそのまま残しつつもよりメロディアスになっている。アレンジもテクニカルではないものの単音リフやギターが一歩引いている部分ではベースが前に出てきているなど、地味な存在ではあるものの、その完成度は前作に負けずも劣らずである。全11曲。
☆☆☆☆ Mariner / Mechanical / Stupid Things / Relative Motions (MWR)
Hammers / 2/02 / Banners Everywhere / Awake
Melodic Punk Off With Their Head "From The Bottom"