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USELESS ID

Dead's Not Punk (1997)
2004年にBullionから再発されたUseless IDの1st。オリジナル盤とはジャケットなどが違っており、また当時は現在GuのGuyがメインボーカルをとっているためメロディなどの印象が全然違う。Yotamよりもっと男らしい声質であり、多少荒削りではあるがそこが逆に勢いのある演奏にマッチしている。さらに現在とはドラムが違いかなり手数が多く、全曲通してドコドコとドラムが鳴っており、それがこれ以後の作品とは違って高速系の曲の中であるがため聞いていてすごく気持ちがいい。アレンジはシンプルながらもツボを押さえた良質のMelodic Punkであり、勢いに満ちた作品となっている。現在ほどポップさはないが、これが彼らの原点があり是非ともUseless IDが好きな人にはこの作品も聞いて欲しい。作品毎に与える印象が異なっている彼らではあるが、前述のように現在の姿とは極端に違うため、フラットな気持ちでこの作品には触れてほしい。全15曲
☆☆☆☆★★ Feeling Wrong / Confuse / No Excuse / Room Of Anger / Is It Right? / Letters / Perfect Life / Own My Own
Fast Melodic Punk Pulley "Matters"
Let It Burn (2000)
FATの名作コンピの一つであるShort Music For Short Peopleにも収録された初期の名曲である1曲目から始まり、Useless IDの世界的知名度を一気に押し上げたThe Atarisとのスプリット。本作はそれまではローカルバンドの一つであった彼らを見出したChrisによる功績が非常に大きいが、本作よりボーカルがYotamに変わったことも影響としては大きいだろう。これまでの作品ほど荒々しくはないものの綺麗にまとまりきっている訳ではないためこれまでの集大成的な要素も強く、最初から最後まで一気に駆け抜ける速さに溢れた作品であるが、その中でも力強さの裏に隠れた若干の陰りを感じるメロディはこの頃から既に健在である。アレンジも6曲目の途中で一気にスピードダウンしつつも更に再加速するという王道的手法も散見されるが、1曲目のようにショートチューンでありながらも起伏に富んだアレンジとなっているため曲数や時間以上のボリューム感である。本作の多くは3rdの日本盤にボーナストラックとして収録されているが、The Atarisからの流れも含めてこの作品単体として味わいたい名盤である。全7曲。
☆☆☆☆★★ Too Bad You Don't Get It / Questions + Answers
Time To Move On / Have A Nice Life / Lost Once Again
Fast Melodic Punk The Ataris "Let It Burn"
Bad Story, Happy Ending (2001)
2001年にリリースされた3rdAlbum。恐らくこれが彼らの日本で知名度を一気に上げる要因となったアルバムであろう。発売当時はタワレコなどでもフリーペーパーにのる位、メディアにも取り上げられていた。音的にもPopでさわやかな感じであり、メロディを今作では重視しつつ、いい意味で前作までの勢いとブレンドした形となっている。そのため単なる勢い任せの楽曲はなりを潜めており、うまくまとまっている印象を受ける。これはアルバムとしては今作からボーカルがGuyからYotamへと変わったことも要因の一つとしてあるのではないだろうか(この理由は彼らが音楽に対して真摯に向き合っていくことを表している)。彼らはこの時点では自らの国の情勢を歌うよりも、こんな国だからこそ、怒りじゃないものも歌いたいらしい。そのため歌詞を見ると恋愛がテーマの曲も多い。でも自らの体に染みついたものは隠すことは出来ず、どこか全体的に明るい乾いた中にもかすかな湿り気、憂いなどを感じることも出来るのではないだろうか。全15曲。(日本盤は全21曲)
☆☆☆☆★ At The Stadium / No Time For Me To Be A Teenager / Presents
Oh, My Guard / Day By Day / Out Of Tune / Far From Distance
Fast Pop Punk The Ataris "Blue Skies, Broken Hearts... Next 12 Exits"
No Vacation From The World (2003)
2003年リリースの4thAlbum。今作はNUFANTony SlyLagwagonJoey Capeが制作に関わっており、かなりPopであり、穏やかな優しさを前面に出してきているような印象を与える作品ではないだろうか。ただし、それがゆえに今までに見られた疾走感が今作ではほぼなりを潜めてしまったとも言える。「彼ららしい」という言葉は好きではないが、前作までの延長線上にこの作品のベクトルは向いていないのだろう。それが故に今作の評価は分かれるのではないだろうか。彼らの良さの一つとしてメロディというものはあるが、単なるメロディの良いバンドなら他にも数多く存在するため作品の持っている統一感は素晴らしいものがあるとは思うが、個人的な見解でもってすれば悪くはないがどこか決め手に欠ける作品である。しかし前作よりもクオリティ自体は向上しているために、彼らに対しての窓口を広げる作品でもあり、駄作とは決して言えないだろう。全14曲。
☆☆☆★★ Same Story Someone New / The Worst Holiday I've Ever Had
Bring Me Down / Jukebox 86 / Unhappy Song
Birthday Song / Stuck Without A Ride / At Least I Tried
Pop Punk Dynamite Boy "Dynamite Boy"
Split w)Man Alive (2003)
同郷の後輩、Man Aliveとのスプリット。収録曲自体はアルバムに収録されているがバージョン違いであり、それだけでも聞く価値はあるだろう。アレンジ自体はほとんど変わっていないが、こちらの方がデモ的なものなのか全体的には荒々しさが目立つ。アルバムでは良くも悪くもきれいにまとまっていた曲ではあるが、個人的にはこれくらい荒々しさがある方が好みである。全2曲。
☆☆☆★★ Same Story, Someone New / Bring Me Down
Melodic Punk
Redemption (2004)
前作から約2年近くの間を経て発売された5th Album。今作はBill Stevensonがプロデュースをしており、良い意味で今までの彼らの集大成的なアルバムとなっている。前作でのポップさを受け継ぎながらも、内面から湧き上がる勢いや激しさを表現し、音楽性が広くなった印象を与える作品となっている。Strike AnywhereなどのMelodic HardCore的な曲もあれば、今まで通りの彼ららしい曲もある。しかしたとえ音楽性が幅広くなっても誰かの物まねではなく、完全に自分たちの中で消化した音となっているため違和感や1枚を通しての不連続感のようなものは聞きこむことによりだんだんと気にならなくなってくるだろう。最初は1曲毎の雰囲気の違いによりあまり好きになれなかったが、同じような印象を受けた人にはぜひ1枚を通して何回も聞いてみてほしい。疾走感は初期に比べてたら落ちてきてはいるが、それに頼らずともこのような作品を出した後どのような方向へと彼らが進んでいくのか楽しみである。全12曲。
☆☆☆★★★ It's Alright / Deny It / Suffer For The Fame
Dying Love / State Of Fear / Redemption
Melodic Punk Saves The Day "Can't Slow Down"
The Lost Broken Bones (2008)
彼らにしては珍しく4年という月日を経て発売された6th Albumは正直なところ判断に迷う作品である。メロディという彼ら最大の魅力をベースとしながらも作品毎にアプローチを変えてくる彼らであるが、今作は中途半端な印象を受けてしまう。優しく穏やかな雰囲気ですべてを覆っていた前々作と、1枚を通しての激しさを等身大の姿で体現した前作の中間を行くような形であり、それまでの彼らの様に1枚ごとの方向性が見えづらいためにそのような印象を受けてしまう。全体を通してマイナー調中心となっており、ミドルテンポ中心の楽曲で構成されているために、作品として悪くはないが不必要に息苦しさを覚えてしまう。これは疾走感というよりもテンポ感やじめっとした空気感の問題であろう。ストレートに現在の自分たちの国の情勢に対しての考えを伝えようとするあまりに全体としてのっぺりとした一本調子の構成になっており、起伏が少ないことが残念である。彼ららしさはメロディに起因するものであり、今作はそれを最大限に生かしているとは言えず、個人的には次作に期待したい。全12曲。
☆☆☆ Mouse In A Maze / Undecided / Misconception / Already Dead
Melodic Punk Man Alive "Open Surgery"
The Lost Broken Tunes Vol.1 (2011)
2か月連続でリリースされる彼らの初のレアトラック集。前作のアルバム制作時に収録されかった楽曲と、Acousticを収録している。個人的には前作があまり好きではなかっただけに正直そんなに期待をしていなかったが、はっきり言えばアルバムよりも出来がよく、これだけでEPで発売しても遜色ないだろう。冒頭に収録されている楽曲全てが3rd~5thの流れを受けている。そのためか彼ら特有の疾走感が大爆発している。それが故にアルバム全体の統一感を重視した前作には入らなかったのだろうと容易に想像できるが、はっきり言ってアルバムよりもこちらのアウトトラックの方が何倍も出来としては良いと感じてしまう。じめっとした若干重苦しい空気感は全くなく、3rdの頃のように母国Israelの乾いた空気を伴った疾走感は彼らにしか表現できないものであり、それがここ最近の彼らのマイナーコードを多用する空気感に負けておらず、見事に彼らの新旧の持ち味を上手くブレンドした形で完璧な程に新しい形で楽曲に反映されている。もちろん後半のAcousticも彼らのメロディーの普遍さを物語っており、彼らの魅力を十分に堪能できる作品であろう。全13曲。
☆☆☆☆ What Are The Odds? / Dissove / Fading Out / X On Revolution
My Alter Ego / Snow Time / Jukebox 86
Melodic Punk ------------------------------
We Don't Want The Airwaves (2016)
絶え間なく活動を続ける彼らの8th Albumからの先行シングル。彼らの特徴であり、持ち味としてはバンド初期や5thのように勢いと疾走感のあるサウンドにキャッチーなメロディが乗った力強くも軽やかな楽曲と、テンポは少し抑え気味でその分ポップなメロディを前面に押し出した楽曲と2面性があるが、本作では後者の部分に比重が置かれた楽曲が揃っている。1曲目のタイトル曲はJoey Ramoneの死から15年というAnniversaryに対して制作され、タイトルはRamonesの”I Want to the airwaves“から取られている。また2015年に亡くなったTeenage BottlerocketのドラムであったBrandonに捧げられたものであり、ボーカルであるRayもゲスト参加をしているが、あまりそういった悲壮感はサウンドからは感じられず、ポップなメロディが際立った楽曲になっている。また3曲目は元々はボーカルであるYotamのソロの楽曲をセルフカバーしたものである。4曲目はアルバムのタイトル曲のアコースティックであるが、アルバム収録時の怒りに由来する力強さはそのままでありながらも、少し独特のリズムや雰囲気を持っており単なるアコースティックとは言えない、彼ら独特のセンスが如実に現れたアレンジになっている。全4曲。
☆☆☆★★★ We Don't Want the Airwaves / Right Wing Fascist Killing Spree
State Is Burning
Melodic Punk ------------------------------
7 Hits From Hell (2018)
7曲で5分以内というショートチューンを収録した、7inchシングル。時間的な制限があるためか速さと激しさが同居した初期のような楽曲が揃っているが、その中でも5曲目のように彼ら特有の甘酸っぱさを感じさせるポップなメロディが印象的な楽曲があり、短い時間の中でも彼らの魅力が詰まっている作品である。難しいことを何も考えさせずに一気に駆け抜ける1曲目や2曲目も良いが、速さや荒々しさの中にも青さや甘酸っぱさが見え隠れする3曲目以降の楽曲のほうが過去を継承した上での現在の彼らの姿を明確に表していると言えるだろう。ただし7曲目は彼らの知名度を一気に上げたFATのコンピやThe Atarisとのスプリットに収録されていた楽曲のセルフカバーであるが、冒頭がレゲエのようなゆったりとした雰囲気へとリアレンジされてしまっている。もちろんラスト10秒で再加速する形ではあるが、この曲だけはリアレンジして欲しくなかったというのが本音ではある。全7曲。
☆☆☆★ Tour Song #2 / Local Expert / Punx on the Other Side / No Time
Fast Melodic Punk ------------------------------